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三話 緋月の第二の弟子!

毎日暑いですね

あれから暫くして、いつも通りのギルド長室へとやってきた葛葉は、緋月と話し込んでいた。


「なるほろ〜つまるはボクの弟子になりたいんだね!」

「あぁーまぁそんな感じです」

「あれっ⁉︎ なんか棒読みになってない!?」


嬉しそうにソファに座ったまんま器用にぴょんぴょんする緋月とは正反対で、首をカクッと下へ傾けブツブツ呟いている葛葉。

緋月が何で葛葉そうなってるかオドオドしながら、葛葉の両肩を掴みぐわんぐわんと揺らす。


「……気付いてないのか」

「えっ!? 葉加瀬はなんか知ってるの!?」

「知ってるも何も、私も葛葉ちゃんの立場なら、緋月を師匠にはしたくないね」

「えぇー⁉︎」


そんな葉加瀬の非常な発言に、緋月はなんでぇ? と首を傾げ目を瞑り悩み始める。

そんな今までの振る舞いを覚えてない素振りの緋月に葉加瀬はため息を吐く。お気楽脳天気な緋月には今までの行動の何処が駄目なのか理解できないようだ。

葉加瀬は目頭を押さえて、


「緋月。今までの行動を振り返って、問題がないと、言えるのかい?」

「言える‼︎」

「……即答」


コンマよりも速い速度で自信満々で言う緋月に葉加瀬衝撃を覚えた。人はこんなにも自分が正しいと思えるなんて……と。


「ま、任せなよ! ボクが師匠となった暁には、明日から葛っちゃんは絶対に強くなって行く!」

「……何の根拠があって」

「ふっふっふ……葉加瀬、何年ボクと一緒に居るんだい?」


その言葉に――いや正確には緋月に、葉加瀬は本能的恐怖感を覚えた。底冷えするような目と雰囲気、あれは緋月が本気の時しか見せない顔だった。




「――……んぁ」


カーテンの隙間から入ってくる陽光。外から聞こえてくる人々の楽しそうな喧騒。葛葉は目を覚ます。


「ん〜……あれ、なんか昨日、話してたような」


目を擦りながら掛け布団を退かすと同時に、何か大切なことを話していた気がして、昨日寝る前に何をしていたかを思い出そうと試みる。が、何も思い出せない……何かあったはずなのに、何も思い出せない。


「あれー? なんかあったは……」


と思い出せない葛葉は首を傾げながら起きようとして気付いた、自分が裸なことに。上裸とかではなく全裸だ。おかしい……いつもは寝る時は大抵ジャージを着て寝ている。なのに何故全裸? 幸い、部屋に誰も居ないのが唯一の救……。

と思いベッドに視線を向けると、ムクリと一部分だけ人の形をして膨らんでいた。


「……」


大体察しはついている。だが、葛葉はあえてベッドの掛け布団を掴み翻した。そしてそこには案の定、緋月が居た。

すやぁ〜と葛葉の着ていたはずのジャージに顔を埋め、幸せそうな表情の緋月はまるで天使のようで、幼児を見ている気分になる。

葛葉はじーっと緋月を見た後、部屋に備え付けられているクローゼットの中から何かを取り出そうと、ゴソゴソと音を立て始めた。


「……ん〜? くじゅっちゃん?」


そして葛葉の立てる音に――完全ではないが目が覚めた緋月は何をしているのかと起き上がろうとした時、緋月の頭上に黒い影が現れ漆黒の光を放ちながら、斬り掛かってきた。それを緋月は真剣白刃取りの如く、黒い影の持っていた黒いナイフの刃を受け止め、そのままクイッと横に倒し黒い影ごとベッドの上に寝かせた。


「あ、あっぶな〜。……葛っちゃん! 何するんだい!」

「……いえ、変態を殺そうかと」


完璧な奇襲を封じられ、両手を緋月に抑えられ、お腹に乗られている今の状態。これじゃあ殺そうにも殺せない。


「……変態?」

「その手に持ってるのは?」

「え? ……家宝、かな!」


手に持っていた葛葉のジャージを一瞥し、少し考える時間をおき、ドヤっ! と胸を張りふすんと鼻を鳴らす緋月。そんな緋月に葛葉は道端に落ちているゴミを見るような目で睨んだ。


「早く返してください!」

「えぇ〜もうちょっとだ――」


葛葉がジャージを取り返そうと暴れ出すが、緋月は片手だけで葛葉の行動を封じてくる。これがLv差というものなのだろう。

歯痒い気分の葛葉はどうするか考えてるいると、また緋月が葛葉のジャージの匂いを嗅ごうと顔に近づけた瞬間。パシュンという小さな音が聞こえてきた。

と同時に緋月が固まりそのままバタンと倒れてしまった。


「ひ、緋月さん?」

「葛葉ちゃん、無事かい?」


そう言って部屋の入り口付近から葉加瀬が姿を現した。その手には葛葉のスキルで作ったガバメントに、一応作っといたサプレッサーが付けられた、サイレンサー付きのガバメントを握っていた。


「……えっ!? 撃ったんですか⁉︎ しかも頭を!?」

「ん? あぁ、安心してくれ。実弾は使ってない。ゴムだよ」


葉加瀬がそう言い、マガジンを取り出し装填されている物を見せてくる。ちゃんとゴムの弾丸が込められていて、実弾ではないことは確かだ。


「あーでも、威力はそのまんまだからかなり痛いよ?」

「……既に真改造してるんですね」


その真改造っぷりに葛葉は引き攣った笑みしか浮かべない。昨日までは普通の銃だったんだけどなぁ〜、と思いながら葉加瀬の凄さに心の中で驚嘆した。


「……あいたた。もう!、葉加瀬‼︎ 邪魔しないでよ!」

「変態を躾けるにはいい方法だろう?」

「だから変態じゃないって!」


と見苦しい事を言う緋月に、葛葉は相変わらずゴミを見るような目で見て、葉加瀬は物的証拠であるジャージを見るのだった。

今回はかなり文字数も多いと思います!

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