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十七話 新たな異邦人

さぁ意味深な日本人転生者! どんな人たちなんでしょうねぇ

大気が揺れ動き、魔力の波長が崩れていく。そして魔力が溢れ返っていった。

バッと二人の顔が魔力の塊の反応がある方に勢い良く向いた。


「これは……」

「へぇ〜まさか、まだ送り込む気なんだ……」


葉加瀬が驚愕を露わにしながら呟き、緋月がキッと空を見上げ、そして睨んだ。

この魔力の波長、そして膨大な魔力量。この世界の住人では到底達することは出来ない領域の反応。

答えは自分達だ。


「日本人がまた来たか」

「さぁ、どうだろね。外国人も結構来るし」

「緋月はどっちだと思う?」

 葉加瀬のそんな問い掛けに、緋月は目を丸くしてから腕を組んだ。そしてんーと唸り始めたのだ。

「ん〜〜〜日本人。……よし、職員を迎えに寄越そうか!」

 ピンッと緋月が悩むのと連動して、ふにゃふにゃと頭のアホ毛も動き、緋月が閃くと同時に真っ直ぐになった。

 くるくるパと指鉄砲を回してから、葉加瀬へ向けてからニッと真っ白な歯を見せた。

「ほんと人使いが荒いね」


そう人任せ発言を平然と言う緋月に苦笑が出てしまう。

テクテクと歩いていって、ギルド長室に着いた緋月は葉加瀬に顔を向けてニコッと微笑んでから、


「あとはよろしく〜」


と丸投げするのだった。

ガチャンと葉加瀬のため息が扉越しに聞こえてくるが、何も言わずにただ葉加瀬が去るのを待った。


「……また、か」


重々しく苦しそうに緋月はそう言った。

葛葉で終わりだとそう思っていたのだ。この世界は【英雄】を欲しているのだ。

【英雄】はもうこの地に居るはずだと言うのに、神々はまた新たな日本人を送ってきたのだ。


「何を考えてるんだ……」


いつもの調子、いつもの口調を忘れて、緋月は空を再び睨んだ。


「さ、これから大変だ。……葛っちゃん、君は君の選択を選べばいいさ。ボクが、後はどうにかしてあげるからさ」


きっと悩んでいるであろう、あの少女に語り掛けるように独り言を呟き、緋月は書斎机へと向かった―――。




「……そんなに気に入った?」

「はい……! とても!」


葛葉から貰ったネックレスをキラキラした目で見ながら五十鈴は嬉しそうに返事をする。

葛葉は「おお〜」と珍しくはしゃぐ五十鈴に、声を漏らしながら目を点にして、驚いた。


「なら良かった。五十鈴にはこれからも色々なことを任せちゃうだろうからさ、だからね、それは感謝の証なんだ」

「……葛葉様、私は構いませんよ。それに、感謝は物でもなくていいんです。……『ありがとう』『美味しいね』この言葉だけでも、私は頑張って行けるんです」


ネックレスに触れていた手を離して、並んで歩く葛葉に向き直り、五十鈴は真っ直ぐな目でそう言ってきた。

確かにそうだ、物で表す必要はない。言葉で感謝の意を表すことができる、なら……。


「うん、分かった。……でも、それは受け取って欲しいかな」

「もう買ってしまいましたからね」

「そうだね」


フフッと二人して小さく笑った。

日常的に感謝の言葉を言うことを意識しよう、自分は前にそれが出来なかったんだから。せめて、大切な五十鈴達には言おう。

それが自分にできるせめてもの()()なのだから。

読んで頂きありがとうございます‼︎

多分そんなに出番はないと思いますね、新しい転生者は。ただこんなキャラを描きたいと思ったから追加しただけですからw

面白いと思って頂けたら、ブックマークと評価をお願いします‼︎

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