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十五話 至れり尽くせり

至れり尽くせり……か

五十鈴は首元のネックレスに手を当てて、じっくりと眺めて、じっくりと感触を味わい感想を述べた。

すると、


「やっぱり〜? んじゃ、これ下さい」

「え!?」


と光の速度かと思える程素早く、葛葉は店主にお金を渡していた。五十鈴が柄にもなく声を上げ驚いている最中も、葛葉はとんとん拍子で支払いを済ましていく。

五十鈴が急いでネックレスのタグを探し前に持ってくる。チラッと見えたタグを見てみると、そこには6が一つ0が四つ並んでいた。


「毎度あり!」


店主がそう言って、五十鈴のネックレスを優しく素早く外し、タグを取ってから葛葉に手渡した。

そのあまりにも素早い一連の流れに、五十鈴は付いて行けず、空いた口が塞がらなかった。


「はい、プレゼント」


唖然と立っていると五十鈴の手を取り、葛葉がネックレスを手のひらに置いたのだ。


「く、葛葉様……。こんなお高い物を……」

「大丈夫大丈夫、私は私の好きな物に出し惜しみはしないから」


それは前世からの悪癖だった。

推しのグッズが出たなら通販で予約して買う。フィギュアが出たならこれまた同様に買う。スパチャもして課金もしてと、はちゃめちゃな金遣いをしていた。

決して裕福な家庭とは行かなかったが、葛葉のお金の使い方は金持ちの子供そのものだった。

異世界でもどうやら同じようだ。


「ですが……っ!」


抗議しようと語気を強めて声を上げようとした時だった、不意に口を葛葉の人差し指で塞がれてしまった。


「言ったでしょ? 私はデートするって。五十鈴とデートするって……違った?」


いつものホワホワ〜とした表情から、戦闘中によく見せる凛とした顔付きになり、問い掛けてくる葛葉にドキッとしながら、五十鈴は首を左右に振った。


「なら、五十鈴は私からの至れり尽くせりを施させる権利があるの。だからさ、これはその一つ」

「……」

「いつも頑張ってるのに何もお礼がないんじゃあダメだからね。これは私からのお礼なの。お金のことは心配しないで、ちゃんとこの日のために使わなかったんだから」


葛葉のはにかみ笑いに、五十鈴は再び頬を紅潮させた。ドキッドキッと心臓の鼓動が強く早くなっていく。

胸が痛い、思いが溢れかえりそう、と自制心が効かなくなりそうになる程、脳がパンクを起こしていた。

憧れであり、好きな人物でもある葛葉に、こうも畳み掛けられると脳の処理が追いつかなくなるのは必然ではないだろうか。


「分かりました……不肖、五十鈴。葛葉様の至れり尽くせりを存分に受けさせて貰います……!」

「うん、私も頑張るよ!」


二人はそう言うとふふっと笑みが溢れ、そして吹き出してしまうのだった。

読んで頂きありがとうございます‼︎

葛葉に至れり尽くせりされるなんて羨まですね‼︎

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