十三話 明かされる秘密
秘密とは……?
「はい、ですがそろそろ限界のようで……次のクエストで使ってしまっては壊れてしまいそうなので、今日に修理しようかと思ったんです」
「そっか〜……お金はあるの?」
「一応多めには持って来ましたが……オーダーメイド品なので、どれほど掛かるかは……」
自分の財布を開き、怪訝そうな表情で呟く五十鈴を横目に、あははと笑みを浮かべつつ葛葉は扉を押しながら中に入っていく。
中に入り扉が閉まると同時にカランカランと、扉に掛けてある看板が客人を知らせる音を立てた。
中には一見すると人は居ないように思えるが、すぐにカウンターの後ろっ側の引き戸から人が出て来た。
「あ、葛葉ちゃん……。やっほ〜……」
出て来たのはこの店を切り盛りしている、篠寺千佳だった。
陽気な性格で、緋月や葉加瀬と親しく、立派な二つ名を所持している元凄腕冒険者だ。
なのだが出て来た千佳は正気がなく、今にも顔からぶっ倒れそうな程元気がなかった。
「お、おはようございます……?」
ヨロヨロと危なっかしい足取りでカウンターの椅子に座り、微笑みを浮かべて葛葉に向き直ってくる。
「……どうしたんですか?」
流石に訊かないわけにはいかず、崩れかけの微笑みを浮かべる千佳に、葛葉は声を掛けた。
「いやぁねぇ〜……最近ね、剣とか盾とかがすごく売れてねー。私のお店のがすごく売れて……売れるのは嬉しいんだけど数がねぇ」
「数はどれくらいですか?」
「剣が〜……200で、盾が〜……大が150と小が250なんだよね」
「え……トータルで六百⁉︎」
「あ〜はは……は、は! はぁ……」
千佳は死んだ目でから笑いを浮かべ、笑いにもならない笑い声を上げてから、頬杖をしていた手が倒れ、顔から机に落ちて突っ伏し力が抜けるのだった。
その際奇怪な声が千佳の喉から出てくるのだった。
「ど、どうしてまた……?」
「ふふ、自慢じゃ無いけど。私の作る武器達が強いからだろうね〜……それがこんなことになるなんて……」
自慢するべきことだろうが、素直に自慢出来ないようだ。性能が良すぎるが故に、買い手が多く、作った武具達が牙を剥いてくるとは思いもよらないだろう。
「多分ね〜……極東の邪竜騒動だろうね〜」
「……? 極東の邪竜、ですか?」
「んーそうそう。…………あれ? あ」
背伸びをしながらボソッと呟く千佳の謎の発言に、葛葉が初めて聞いた内容の発言に反応した。
何度も何度も緋月に釘を刺されたはずだ、極東のことは絶対に葛葉に言うな、と。
読んで頂きありがとうございます。
ついにバレてしまいましたが、緋月が喋ろうとしなかったのは、昔の葛葉ですからね、今の葛葉ひどうなんでしょうか⁉︎
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