十話 反省の色なし!
反省できる子じゃないですからねぇ
「―――葛葉よ‼︎ いい加減にその目は止すのじゃぁ‼︎ トラウマになってしまうではないかー‼︎」
「だったら反省してくれる?」
「しとるではないか⁉︎」
と言い合いを繰り広げる葛葉と鬼丸。
葛葉のエプロンの裾を強く掴んで、わんわんと涙を溢しながら懇願をする鬼丸へ、葛葉は微笑みながらそれを拒む。
すると次第に鬼丸の声は大きくなり、掴む力が強くなっていく……というか。
「あ、ちょっと! やっぱり反省してない!」
「なんでじゃー‼︎ 反省しとるではないかー‼︎」
グイグイとエプロンと葛葉の着ている服を剥ごうと抱き着いてきた鬼丸へ、葛葉は引き剥がそうと押し返す。
何コレ? ふと律はそう思った。
「あのぉ、お夕飯の準備が……」
「律よ、早く手伝うのじゃ! 葛葉の裸体を拝めるチャンスなのじゃぞ⁉︎」
「ちょっ、もう隠してすらないじゃん!」
とうとう本音を叫び、律に手を伸ばし始める鬼丸。葛葉はその隙に引き剥がそうと押す力を強めた。
だが腐っても鬼族最強の巫女である鬼丸には到底敵うはずもなかった。
「――律様? 何をして……なるほど」
「あぅ〜、私にはどうにも出来ませんよぉ……」
いつまで経っても来ない三人の様子を見に来た五十鈴が、状況を理解すると同時に律が嘆くのだった―――。
『―――あっ‼︎ ちょっと鬼丸さん⁉︎』
『なんじゃなんじゃ〜、どうしたと言うのかのう〜』
『どうしたもこうしたもありませんよ⁉︎ 触ってこないでくださぁい!!』
『良いではないか〜良いではないか〜……ふむ、うぬも葛葉と変わらぬ良い身体じゃな!』
『大きな声で言わないでくださいよ‼︎』
そんなくぐもった声が聞こえてくるが、五十鈴はそれを無視してバルコニーから眺めれる夜空を見ながら、夜風に吹かれ身体を冷ましていた。
あの後、全員で風呂に入ろうと鬼丸が言い出したのだ。それを葛葉含む全員が遠慮しようとしたが、鬼丸が泣き喚き面倒臭かったので仕方なく、全員で入ることになったのだ。
嫌な予感しかしなかった五十鈴はチャチャっと風呂を済まして直ぐに出たのだ。すると案の定、今のような声がずっと聞こえてくるのだった。
「周りに家がなくて助かりましたね……」
こんな声が聞こえれば近所迷惑もいいところだ、ましてや子供に聞かれたとあっては教育に悪すぎる。
五十鈴は周りに民家がなくてホッと一安心するのだった。
読んで頂きありがとうございます‼︎
鬼丸がね、反省なんてね、後五百年は必要かな!
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