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二話 新たなる決意

自分も怖いのよりビックリの方が苦手です。

ギルドの奥へ続く廊下を歩く美少女は、その顔を何かを押し殺すように強張らせていた。

そして立ち止まり、


「……――ッ‼︎」


ドンッ‼︎ と壁が壊れそうな勢いで、壁を殴りつけた。


「……駄目だ……強く何ねぇと」


美少女――鬼代葛葉は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべ呟く。ラグスの居ない時と居る時の彼等の態度は正反対だ。

きっとラグスはそれくらい信頼にたる存在だったんだろう。そんな彼が師と呼び、教えを乞うとした人物。葛葉は妙にギルド長とその秘書と仲がいい。

何かあるようにしか思えない。当たり前だ。


「……クソッ」

「――あまり、そう言うもんじゃ無いよ」


自分の不甲斐なさに舌打ちと汚い言葉しか出ない葛葉。そんな葛葉に声を掛ける人物――月島葉加瀬だった。


「葉加瀬さん……」

「今日もこんな時間に帰ってくるなんてね」


時間はもう深夜を過ぎている。

葛葉はクエストを受けて、朝一番にギルドを出たのだ。それなのにこの時間に帰ってくるなんて、どうかしている。


「強くなるには……仕方ないんです」

「強くなるか。君は強くなるを勘違いしているんじゃ無いかい?」

「……どう言う意味ですか?」


葉加瀬の発言に葛葉が何が言いたいのか分からないという表情になる。


「日に日に傷が増えている。本当はもう気付いているのでは無いかい?」

「……」

「強くなってなんか居ないと」


葛葉は顔を俯かせる。その通りだ、その通りだった。

強くなってなんか居ない。日から変わらないまんまだ。強くなると決心しても、自分一人では、強くなってなんか居ないと。

目を逸らすな、顔を背けるな。見ろ、前を見ろ。現実を知覚しろ。お前はまた、逃げるのか?

そう言っているような気がした。昔の、幼い 頃の葛葉が、そう言ってるような気がしたんだ。


「人は誰しも、独学では強くなれない。強くなれる人はね、才能がそうさせるんだ」

「才能が……」

「けど、人は必ずしも才能を持っているわけでは無い。いつか誰かに助けを乞う時が来る。……それが今の君だよ」


……そうだ、私に才能はない。でも、努力出来ないわけじゃない! 一人で頑張って、やった気になんてなってんじゃねぇ。

誰かに教えて貰わなくちゃ、どうにも何ねぇだろ。

葛葉は自分の愚かさに心底うんざりする。そして気を取り直し、葉加瀬へと顔を向ける。


「……葉加瀬さん。緋月さんは今どこに居ますか?」

「君の後ろだよ」

「へっ?」


戦い方を教わるのに適切な人物はあの人しかいない。ラグスを弟子として育て、あそこまで強くさせたあの人しか。とそう思い葉加瀬に緋月の居場所を聞いた葛葉。

葉加瀬に言われた通り後ろを向くと、ニパァっと笑顔の緋月が葛葉の両肩を抑えていた。


「葛っちゃ〜ん」


流石の葛葉でもこの登場の仕方は予想外であり、心臓がキュッ! となってしまった。

目を点にし瞬きを繰り返す、口はバツの形になり、急なことでビックリし過ぎて体が震えている。


「葛っちゃんって意外と……」

「い、いえ……」


速くなる鼓動を徐々に緩めて、心を穏やかに落ち着かせる。葛葉はホラーは平気だが、ビックリ系は苦手なのだ。


「とりあえず、緋月は葛葉ちゃんの話を聞きたまえ」

「あぁうん、分かったぁ」


葛葉の一ヶ月の経験はどうやらLv.9には塵芥にも満たないようだ。いつから居たのかは葛葉には分からないが、葉加瀬の言い方的についさっきくらいだろう。そうして三人は場所を移すように廊下を歩き始めた。

読んでいただき、ありがとうございます!

ネタが飽和するほど出てきたので、じゃんじゃん書いていこうと思います! なので、面白さも飽和するほど面白いお話を書きますので、どうかこれからも読んでかれると嬉しいです。

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