六話 駆逐してやる……一埃残らず!
エプロン……エプロン……エプロン……ハッ!!
そうか、そうかそうか! よし、いつか葛葉にはご飯を作ってもらおう! その時の衣装は……グヘヘ
「……はぁ」
すっからかんの財布の中身を見て、五十鈴はため息を吐いた。
そしてバッグの中に入ってある高級な食材を見やった。これら全てで二ヶ月は食い繋いでいける額だ。
「葛葉様に相談ですね……これは」
このままでは食費だけで破産してしまう。
屋敷を持っている身である葛葉には、他のことも支払ってもらっているのだ。水道代に魔道機代、そして全員分のお小遣いと、かなり負担をかけているのだった。
「鬼丸様には少し我慢してもらいましょう」
そんなことを言ったら、きっと鬼丸は暴れ出すだろう。そうなったら誰も止められなくなってしまう、だがそれでも鬼丸には我慢をしてもらうしかないのだ。
「デザートをプリンにすれば……?」
怒る鬼丸も落ち着かせれることが出来るだろう。そう思い至ったなら即行動する、五十鈴は帰路につこうとしていた足を止めて方向転換、再び商店街へと向かうのだった―――。
はぁ、と息を掛けてゴシゴシと窓を綺麗に拭いていく。頼まれていた家事を全てやり尽くしてしまい、暇になってしまった葛葉は、屋敷の掃除をし出したのだ。
三角巾を身に着けエプロンを着て掃除をする葛葉は、窓を一通り拭き終わり、ふぅっと一息吐いていた。
「家の掃除なんて……久しぶりだ〜」
前世では最終的に部屋へ引きこもって、ぐうたらしているだけだったのだ。
掃除をすること自体……いや掃除をしようと思った時点で相当おかしい。
「でもこの家……結構綺麗なんだよね……」
元々は使われなくなり草や蔦も生え散らかっており、廃墟以外の何ものでも無かったが今では人が暮らせるようになっている。
緋月が使った魔法の効果のおかげでもあるのだろうが。
「まぁしないに越したことはないか」
三角巾をキュッとさせ結び目を強くして、部屋の中を見回してからそう呟き、スキル『創造』で布ハタキを造る。
まずは埃から駆逐していくのだ。
「あ、マスク」
左手でマスクを造って装着して、キッと棚の上に鋭い眼光を送った。
そして直ぐに布ハタキで埃を掃除していくのだった―――。
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