五話 まるで将棋だな??????
タイトルは関係ないっす
「ん、これは……? 鬼丸」
「なんじゃ〜?」
葉加瀬がふと目線を再び地面に向けると、地面に引きづられた赤い跡があったのだ。
「この兵士達は、最初何処にいたか分かるかな?」
「ふーむ、そうじゃな。……あそこじゃったな」
「あそこ……? 何もないところに兵士が?」
鬼丸が指したところは本当に何もなく、木漏れ日が地面を照らしているだけだった。
これだけの兵士を送り込むとして、なぜこんな意味も無いところに送るのか?
葉加瀬が考え込み始めると同時、鬼丸と緋月が顔を見合わせて、そそそっと葉加瀬から離れ出す。
「葉加瀬がああなったら当分は帰ってこないね……」
「そうなのかー……なぁ一体奴は何者じゃ?」
「んーただの天才だよ」
「ただの天才とな? うぬらの世界ではそうかもしれんが、この世界での天才は一筋縄ではないぞ‼︎」
ふっふっふとこの世界でほぼ最強の鬼丸が、高らかに言い高らかに鼻で笑うのだった。
緋月は「あ〜はいはい凄い凄い」とほぼシカトして、後ろで考え込んでいる葉加瀬に目を向けて、目を細めた。
「この世界の魔法知識はかなり新しいことを知ってるかい?」
ふと緋月が鬼丸へ背中を向けながら問い掛ける。鬼丸は振り返り、少し眉を寄せるが緋月の問い掛けに返事を返した。
「新しいじゃと?」
「元々この世界にはね魔法は八属性あって、初級中級上級最上級と分かれていたんだってのは知ってるよね? でもね〜今から数年前にぃ、葉加瀬がその常識を破ってね、派生魔法ってのを作っちゃったんだよ!」
「派生魔法?」
鬼丸の知らない単語が唐突に出てきた。
派生魔法、鬼丸が封印される前の時代にはそんな言葉はなく、魔法とは魔法という括りだった。
「そそ。派生魔法ってのはね、さっき葉加瀬が言ってた砲撃魔法とかそういうの。あとは爆裂とか爆発とかそう言う系だよ」
「なるほどのう。……いや待て、すると彼奴はとんでもない天才ではないか⁉︎」
緋月の話を聞き終え、顎に手を当ててふーんと何度か頷いていたが、ハッと葉加瀬の成したことに気が付いたのだ。
魔法は神代の時代からある代物――つまり神達が授けてくれた恩恵のような物だ。そんな恩恵は、元々神の力であるがために研究やらなんやらをしたとしても、構造も仕組みもあまり分からなかったのだ。
だから人間やその他の種族は、自分達なりの小細工をして、魔法を使いやすくさせていたのだ。
だが葉加瀬は小細工どころではない、本来の力とは別の力を見つけ、そして実用化させてしまったのだ。
「それが数年前じゃと⁉︎」
当時世界を震撼させた大ニュースも、地下深くに封印されていては知ることすらできないのは必然だろう。
「……多分今回のこの騒動も大体は掴めてるだろうね〜」
「最早黒幕じゃな……」
白衣を靡かせて木漏れ日を浴び、艶のある黒髪が葉加瀬の魅力を際立たせる。インスタにあげていたらバズりそうな光景だ。
そんな葉加瀬をジーッと二人して眺め始める。
「頭脳戦で葉加瀬に勝てる奴はそうそう居ないだろうね〜。ボクが知ってるのは一人だけかな?」
「ほ〜う。いつか将棋でもやってみたいのう」
「……え、葛っちゃんに狂戦士って言われてんのに出来んの?」
葉加瀬のことを見やり、緋月の言葉にニヤリと口角を上げる鬼丸。そして鬼丸の放った言葉に、珍しく緋月がツッコミを入れるのだった。
読んで頂きありがとうございます‼︎
数年で色んな人々に使われる派生魔法はかなり有能ってコト⁉︎ まぁきっと概念系が多いと思います、設定はまだキチンと定まってません。
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