二話 目の保養過ぎる光景
素晴らしい、素晴らしい! 私の望んでいた世界が、今! 目の前にある!
椅子に座らせてから、五十鈴は再びリビングの扉へ歩いていった。鬼丸はきっと葛葉に一度起こされたのだろう、だが睡魔には勝てずに階段で力尽きた、これが真実だろう。
なら一向に戻ってこない葛葉は?
「絶対に寝てますよね」
顔を曇らせ、手すり手を掛けながら階段を一段一段上って行くのだった―――。
―――ガチャっと扉を開けて部屋を覗いてみると、僅かばかりだが陽光が差し込んでおり、舞っている埃が照らされていた。
そんな中ベッドの上ですぅすぅと寝息を立てている、目の保養になる美少女二人。
紺色の髪の美少女の身体に抱き着いて幸せそうな表情を浮かべる黒髪の美少女。
紺色の髪の美少女――葛葉は、抱き着いてくる黒髪の美少女――律の頭に手を置いていた。
「……やっぱり寝てましたか」
そんな緋月が居たら大興奮していそうな光景を眺めながら、五十鈴は苦笑しながら口にした。
「仲が深まったとはいえ……翌朝からイチャイチャされるのは少し妬いてしまいますよ……」
身を寄せ合い互いの寝息が掛かるような距離で眠る二人に、物凄く胸がザワついてしまう。
「……葛葉様〜、律様〜。起きて下さい!」
「ふぃにゃ?」
「ふがッ!」
二人のアホ毛を手で掴み、思いっきり引っ張ると二人して似たような反応をして起きるのだった。
葛葉がゴロンと寝返り仰向けになって五十鈴を見上げると、あっ! という反応をして一気に目が覚めたようだった。
「めんご?」
「可愛いですが許しませんよ?」
葛葉らしからぬ顔で謝罪してきたが、五十鈴はどうにか持ち堪えそう言うのだった。
「……ふぁえ? くじゅはさん? 五十鈴しゃん?」
律の髪には凄まじい寝癖がついており、眠気眼を擦りながら二人を交互に見ながら声を掛けてきた。
「おはようございます、もう既に朝食の準備は整っております」
「え、もうそんな時間ですか……⁉︎ あれ、葛葉さんはなんで私のベッドに⁉︎」
いつもは早起きな律が、五十鈴の言葉に驚き眠気が覚めたのか、先とは違うハキハキした声で喋り出す。
「そんなことよりも、早く食べなくては朝食が冷めてしまいますよ?」
「いや……私としては凄く気になるんですけどぉ……」
五十鈴の隣を通って部屋から出ていってしまう葛葉を眺めながら、律は頬を赤くさせてゴニョゴニョと呟く。
ガチャンと葛葉が部屋から出ていってしまい、二人だけが部屋に残された。
「幸せそうに抱き着きながら寝てましたよ?」
「……ぇ? だ、だだだ誰がですか⁉︎」
「律様です」
五十鈴はそう言い残して、部屋を後にしてしまった。
一人取り残された律は顔を俯かせて、恥ずかしさか何か分からない感情に、脳がショートしボッと頭から煙を出すのだった―――。
読んで頂きありがとうございます‼︎
美少女が二人一緒に布団の中で寝ている? 最高ですよね? そうですね、異論は認めません。
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