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TS化転生っ娘は、ちょっとHな日常と共に英雄になるため、世知辛い異世界で成り上がりたいと思います!  作者: んぷぁ
第四部 一章——激戦の後の静かな日々&律とのイチャイチャ編——
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十五話 幼き頃の苦悩

遅くなりました!

葛葉が言葉を詰まらせ、律に何かを言おうとしても、言葉が喉につっかえてどうしても出て来ない。


「それなのに、葛葉さんは必死に、泣きたいのを我慢して生きてきたのが……葛葉さんの言葉に載ってる気がして……だから」

「……」


何がわかる、知ったような口をしないで、そんな言葉は脳裏にすら浮かばなかった。何故なら、事実そうだったからだ。

自分がどれほど泣きたかったか。あの日、両親を失った日、本当なら泣きじゃくって喚いて転げ回って、何もかも投げ捨てたかった。

でも出来なかった。


「悲しくて……すごく悲しくて……」


お願いされたから、長男だから、いや違う。二人だけになった家族の中で、自分だけはちゃんとしなくてはならなかった、たった一人きりになってしまった妹のために。

妹の前だから、妹が居たから、情けない姿は見せれなかったから、だから泣く事を我慢してきた。


「……律は……優しいね」

「ッ!」


ポロッと葛葉の目尻から涙が流れ落ちた。

今まで流れるはずだった涙を堰き止めていた涙腺が崩壊したのだ。たった一雫だったのが、更に量を増やしていく。

もう、自分は我慢をする必要はないのだ。だから今は泣こう、泣いて泣いて背負っていた重荷を降ろそう。


「ありがとう……!」


涙を流しながらも葛葉は、精一杯の笑みを浮かべて律にそう言うのだった―――。




日が沈み真っ暗闇が支配する静かな森の中、複数の足音がしていた。その足音を追うように、木々が次々と薙ぎ倒されていっていた。


「―――『八艘飛び』」


そう唱えたのは、巨大な金棒を担ぎながらも空を飛んでいるかのように身軽に飛び回る、鬼丸だった。

グッと力を足に込めて一気に解き放つ、途端鬼丸の姿が掻き消えた。と同時に逃げている"者"達が二秒前にいた場所が爆砕した。

その衝撃は周囲の地面に、幾つもの割れ目を作ってみせたのだった。


「く、くそッ! な、なんでこんなことに⁉︎」

「バカ! 口よりも足を動かせ!」


そんなまさに鬼のような鬼丸から逃げるのは、二人の軽装姿の兵士たちだった。

それだけ聞くと、鬼丸がまた何か騒動を起こしている最中なだけに聞こえるが、逃げている兵士たちは"魔族"だったのだ。


「あ、不味い! 止まれ―――‼︎」


一心不乱に逃げる魔族の兵士達は、空から降ってくる物に瞬時に気付けなかった。一人がやっと気付いたが、時すでに遅し、手を伸ばした先が先ほど同様爆砕した。

自分よりも先を走っていた兵士は木っ端微塵になり、血が辺りに飛び散っていた。


「……う、嘘だろ」


腰の力が抜け尻から地面に倒れる。


「どうして……こんなことに」


次第に目尻に涙が溜まってきた。ただの偵察任務であったはずが、どうして鬼族の巫女に追いかけ回されなくてはいけないのか。

帰りたい、そう願った。

だが現実は非情だった。


「うぬらは何故この地にいる」

「……ぅ」


後頭部を鷲掴みにされ、小さい身体の巫女に軽々と片手で持ち上げられた。


「ここは最前線から百キロ、魔族領からは百五十キロ離れた地じゃ。……もう一度聞こう、何故この地におるのじゃ?」


鬼丸の剣幕、鋭い眼光に身体の芯から振る上がってしまう。


「…………む。そうじゃったな、うぬらには彼奴がおったのう! なら此処に居るのも納得行くのう!」


わっはっはっは、と今にも殺されそうな雰囲気から一転して、鬼丸は朗らに満面の笑みを浮かべた。

兵士はその代わりように、戸惑いながらも少しだけ安堵を覚えた……が。


「…………して、うぬよ。何を企んでおるのかのう?」


頭を掴む力が一気に強まった。ミシミシと嫌な音を立て、今にも破裂しそうな頭に手を添えようとした。

だがさらに強まる力に、痛みで指すら動かせなくなってしまった。


「全く、うぬらは人の心が無いのう。連戦続きの者へ、手袋を投げ付けるような事をするとはのう。……不安要素は取りぞかなくてはいけんのでな、少しは休みが必要じゃからな」


そう言ってから鬼丸は加減していた力を一気に解放した。兵士の頭が爆散し、鬼丸の身体から魔力が溢れ周囲の木々を薙ぎ倒した。近くで控えていた他の兵士達も木に押し倒されたり、膨大な魔力に当てられ気絶する者も、耐性が低く八つ裂きにされる者もいた。


「……わしを止めてみるがよいのじゃ!」


そして一方的な蹂躙が始まった。

読んで頂きありがとうございます‼︎

本日は少し遅くなりました、すいません! ですが内容は多めなのでどうかお許し下さい!

面白いと思って頂けたら、ブックマークと評価をお願いします‼︎

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