十三話 夜明けの二人
総合評価百人行きました!
「それじゃ、準備は出来たね」
「はい!」
朝日が顔を出すより少し早い時間。ギルドの玄関前に停められた馬車の馬が嘶く。荷物をある程度馬車の中に詰め終わった状態のラグスは、緋月と葉加瀬へ向き直り頭を下げて、
「今まで、ありがとうございました‼︎」
そう、今までの想い全てを吐き出すように大きな声で、感謝した。
「……元気でね」
「はい! 葉加瀬さんもお元気で!」
万感の思いを隠すように葉加瀬が言う。葉加瀬は頼りになる上司だ。分からないことがあったら一緒に考えてくれて、自分が駄目な事をした時はちゃんと叱ってくれて。まるでお母さんみたいだ。
「必ずだよ?」
「はい! 必ず強くなって帰ってきます!」
そして師匠は、師匠は……。何も無いな。
「おいっ!」
今までの二人を振り返って、懐かしい思い出に浸る。葉加瀬はいくつもある、が緋月のは何一つない。
「姐さんは……?」
どこにも居ない二人目の師匠の事を二人に尋ねる。あんな事したんだ、来るはずない。そうラグスは思っていた。
「えっ? ラグス〜君ってやつは〜」
と呆れ半分といった緋月の反応、
「それは無いだろう」
と言った驚きの葉加瀬の反応。
二人の反応にキョトンとしていると、二人はため息を吐き顔を見合わせ、ラグスに言ってやった。
「ラグス、君は強くなりに行くんだろう?」
「は、はい」
「あの娘も強くなりに行ったのさ」
「……姐さんも」
緋月の視線の先、今もモンスターと戦っているであろう葛葉が居るのだと、ラグスはそう思った。
「……はぁ〜」
モンスターの巨体が倒れると同時、葛葉はため息を吐いた。戦いの疲れからか、それともこんなに朝早くクエストをしている事についてか。
全て否だ。
「もっと、もっと強くならなきゃ」
葛葉の吐いたため息は弱い自分に対してだ。
彼が葛葉の隣に立てないように、葛葉はラグスの隣には立てない。弱いから、強く無く助けもらうばかりだから。だから、隣には立てない。なら、立てないのならば、強く有ればいい。弱いままなら強くなればいい。そんな簡単に言うな? 知ったことか、強くなるんだ。チート持ち転生者ぐらいに――‼︎
読んでいただき、ありがとうございます‼︎
この度は何と! 総合評価百人記念です! この日のことは忘れません! あとでカレンダーにメモってときます!
本当にありがとうございます‼︎ これからもご期待に添えるように日々精進していきますので、これからもよろしくお願いします!