八話 作り笑い
あまりシリアスは少ないですが、タイトル名がシリアス気味ですね。
―――教会を後にした葛葉達はギルドに向かっていた。
「葛葉さん……」
「どうしたの?」
「その、大丈夫なんですよね……?」
オドオドと怯えながらも、律は葛葉に声をかけたきたのだ。
前を歩いていた葛葉は、立ち止まって振り返り律を見てみると、律は心配そうに葛葉のことを見ていた。
「うん……私はもう決めたから」
"迷わない"と。
自分に課せられた義務を果たすために、もう二度と目の前で誰も失わないように。もう二度と、救えないなんてことが無いように。
その途中で立ち塞がる障害は全てを切り捨てる覚悟もした。
英雄が【英雄】であるために。
「……」
葛葉の微笑みを見て、律は安堵しなかった。何故なら、葛葉の微笑みは今にも潰れてしまいそうだから。
ここ最近で様々なことが、彼女の周りで起きすぎた。
身体は休めても、精神は休めれていない。
「私は、いつでもそばに居ますから!」
「う、うん? え、どうしたの急に」
唐突な律の言葉に、葛葉は驚きながら律の額に手を添えた。すると律が「熱なんかじゃありませんよぉ!」と、バタバタと少し暴れながら講義の目を向けてくるのだった。
二人が和気藹々と楽しそうに歩いていると、どこからともなく香ばしい匂いが漂ってきた。
「お、およよ? 葛葉さん、葛葉さん! ……いい匂いがします!」
「ん〜デジャブ……」
葛葉は、スンスンと鼻を鳴らしながら身体の向きを変える律を見ながら、ボソッと呟いた。前にもこんなことがあったなと。
「それにしても……これ、何の匂いなんだろ?」
律へ苦笑をしていた葛葉も、前の時とは違う匂いに少し気になっていた。
前のは焼き鳥みたいな匂いだったが、今漂っているこの匂いは何なのか……。
「行ってみましょう!」
「え、ちょっと!」
食べ物には目がない律の悪癖が出てしまった。
スタタタと早足で匂いのする方向に走っていってしまう律に、葛葉は目頭を抑えてから追いかける。
目の前の角を曲がって大通りに出ると、そこにはかなりの人達が一つの屋台に並んでいた。ちゃっかり律も列に並んでいた、葛葉の分のスペースを確保して。
「……何コレ? ・・・・・・あっ」
テクテクと人の多さに圧倒され、ロボットのように口を開けて言葉が出なくなってしまう葛葉。
人々が並んでいる屋台に目を向けると、そこには見覚えのある人達が居た。
「あの人たち……」
女性にしてはかなり高い身長の人物と、黄色と茶色で分かれたプリンのような髪色の女性。
小比類巻とカミラだ。
「何で屋台?」
一応小比類巻のパーティーは高レベル冒険者だと教えてもらった。そのリーダーである【武器屋】の小比類巻羽衣。ヒーラーの【生臭聖女】のカミラ。そしてゴリゴリのアタッカー【狂乱之戦車】のガルンディア。
Lv.6とLv.5二人のパーティーだ。
「……すごい繁盛してるし」
読んで頂きありがとうございます‼︎
小比類巻達が屋台をやっている理由は、前回と前々回の教会の寄付金を集めるためです! あと余った材料とかをあげたり出来るので。
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