二話 変態と不審者?
なんちゅう題名?
カーテンの隙間から朝日が差し込み、美しい寝顔が照らされている。すぅすぅと寝息を立て、深い眠りに着いている目の前の、自分の憧れの人物――葛葉である。
そして葛葉のベッドの隣に立ち、じっと葛葉の寝顔を見ているのは律であった。
頬を少し赤く火照らせて、手を伸ばそうと動かそうとして、抱いていた自分の枕が床に落ちそうになって、慌てて抱き直した。
(う、うぅ〜葛葉さん……)
ここ最近、律は自分の胸に渦巻く、よく分からない感情に悩んでいた。それは決まって葛葉のことを見ている時に起こるのだ。
(な、何なんでしょうか……? この気持ちは……)
手にギュッと、自然に力が入ってしまう。
察しのいい方なら直ぐに分かるだろうが、本人は全く理解していないのだ。
そんな不審者のようなことをしていると、
「―――あれ? りっちゃんじゃん、どったの?」
と急に声が掛けられた。ドキッと心臓が口から飛び出そうになって、律はブンブンと首を振って周囲を見るが、人の姿はどこにも無かった。
挙動不審な律と、目の前で眠る美少女という構図は、どこか危ない気がする。
「ここだよ〜、ここここ」
「……え」
再びしてくる声に、律は声の方に視線を向けると、葛葉の掛け布団の中から顔を出している緋月が居た。
「やっほ!」
「え、え〜〜〜⁉︎」
驚きつつも、静かに声を上げるよう配慮している律とは逆に緋月は、あはは〜と何も考えて居なそうな表情を浮かべていた。
「なぁんだ、こんな朝っぱらから美少女の部屋に入ってくる奴がいるなんておかしいと思って、不審者でも入って来たのかと思ったよ〜」
「い、いや、それは緋月さんじゃ……?」
緋月は、にぱぁと満面の笑み浮かべ、自分のやっている行動を棚に上げてブーメラン発言を考えなしに言った。。
緋月は掛け布団から顔を出してはいるが、その他は一切出て居ない。何故なら、身体は葛葉の身体に抱き着いており、手は葛葉の双丘に置かれているからだ。
「そんなことよりさ! りっちゃんも中入って来なよ〜、いい匂いするよぉ?」
「あ、あの、私は匂い目当てじゃ無いんですけど……?」
「プニプニで柔らかいよぉ〜……あ、危ね」
えへへ〜と口角を緩ませて、手を気持ち悪くウニョウニョ動かして居た緋月は、咄嗟に口元を拭った。
どうやら緩み過ぎた口角から涎が垂れそうになったようだった。
読んで頂きありがとうございます‼︎
緋月みたいな人が現実にいたら確実に務所暮らしでしょうね〜。まぁ緋月は、外見と中身でやらされてますが。(緋月ちゃんはやれば出来る子やから!)
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