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TS化転生っ娘は、ちょっとHな日常と共に英雄になるため、世知辛い異世界で成り上がりたいと思います!  作者: んぷぁ
第四部 一章——激戦の後の静かな日々&律とのイチャイチャ編——
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一話 平和な日々へ

すいません!

カン! ダン! と木が思い切り打つかり合う音が、透き通る青空の下に響き渡っていた。

手に短刀を二振り持ち、激しく攻め立てるのは紺色髪の美少女――【英雄】の称号を与えられた鬼代葛葉だ。そしてそんな葛葉の猛攻をバックしながら交わし続けるのは、緋色髪の幼女のように見える美少女――【戦帝】の名を持つ八重樫緋月だった。

そんな二人はただ今特訓中だった。

緋月が刀の腹で葛葉の短刀を受け止め押し返し、袈裟斬りを繰り出すが、葛葉は側転で綺麗に避けていく。そしてガラ空きの緋月の背中を斬りつけようとして、緋月の姿を見失った。突然に目の前から消えたのだ。

目を見開いて驚いていると、後ろからの膨大な気配に気が付いた。

葛葉は振り向き様に短刀をクロスさせて、緋月の一撃に全身の力で耐えようとした。瞬間、隕石が降って来たかのような衝撃に、防御は意味を成さず葛葉の身体は吹き飛び、葛葉の居た場所の地面は破砕された。


「……うぅ、負けた」


地面に大の字で寝っ転がり、葛葉は青空を眺めながら拗ねるように呟いた。


「いやぁ〜強くなったね〜。ボク最後、本気出しちゃったよ?」

「なら良かったです。少しは強くなってるみたいなので……!」


葛葉は、緋月が伸ばしてくる手を取り、呟きながら立ち上がるのだった。




それを遠くでズズズとお茶を飲みながら、優しい目で見守って居たのは、夜空の様に美しい黒色長髪の美少女――律だった。

そしてその隣には白い白衣を着て目元に隈がある美女――月島葉加瀬が、膝の上にノーパソを乗っけて何事か作業をしていた。


「お二人は強いですね……」

「ん? そうだね。緋月はいつも通りだが、葛葉ちゃんは違うね。前とは違って……そうだね、何と言えばいいか・・・容赦がなくなったかな?」

「容赦……ですか?」


律が湯呑みを傍らのお盆に置いて、葉加瀬に今の二人の特訓の感想を言うと、仕事をしながらもちゃんと見ていた葉加瀬は、説明口調で詳しく話し始めた。


「そう、あの子はこの前の戦闘で……自覚したんだろうね」

「なるほど‼︎」

「それに、今のあの子のポテンシャルはLv.3と何ら遜色は無いほど、強くなっているからね」


葛葉がLv.2になったのが鬼丸との戦いだ、その戦いからはかなり時間が経っている上に、この前の――二日前の戦いで【英雄】としての自覚が芽生えたことと、葛葉の心身の成長が、レベルアップに近付かせているのだ。


「――んまぁそれもそうじゃろうな! わしの伴侶は凄いのじゃからな!」

「鬼丸様、落としますよ」


葉加瀬の話に横槍を入れて来たのは、エプロンを着けていても、顔や服の背中を汚している鬼丸だった。手には盆を持っており、その上には葛葉のために作った、所々焦げてしまっているクッキーがあった。


「……鬼丸さんは、どうして急にクッキーを……?」

「なぁに、簡単なことじゃ……。葛葉の胃袋を掴んで、わしの地位を固め、不動の地位を確立させるためじゃ‼︎」


ふんすと胸を張り身体を大きく見せようとする鬼丸に、律は顔を引き攣らせて「無理じゃ……?」と口走りそうになってしまった。が、その後に起こる事は目に見えて分かるので、直ぐに自分の口を両手で塞ぐのだった。


「……早く私達も強くなりたいですね〜」

「はい、私も早く強くなりたいです」


視線を葛葉達の方に向けて、律は脚をふらつかせながら、空を見上げて呟いた。

律の隣に座った五十鈴も、葛葉の姿を真っ直ぐ見つめて、同じ様に呟くのだった。


「葛葉ちゃんは、君達よりも冒険者になったのは早かったからね、でも君達も十分強いさ」

「……そうだと良いんですが」


五十鈴が葉加瀬の励ましの言葉に、静かに頷きながら返す。その隣では、味見しろと言われクッキーを口に突っ込まれる律が居た。

葛葉は二人よりも一ヶ月早く、律は五十鈴よりも数日早く、と言った感じだ。葛葉がパーティーの中で一番強いのも納得がいく。

まぁ鬼丸は例外だが。


「だが、レベルはただの目安だ。レベルに、あまり本質と呼べるものは無いさ。それに至るまでの過程に意味があるんだよ」

「過程……」


パタンとノーパソを閉じて、葉加瀬はゆっくりと立ち上がった。

葛葉が今まで歩いて来た中で起こった出来事は――過程は、人を成長させるに足り過ぎる出来事の連続だった。

だが律と五十鈴には、滅多にそう言ったものはなかったのだ。葛葉と二人の間に差が出来るのは必然だ。


「自分は何をするべきか、何がしたいのか、それを理解出来ていない内は、レベルアップすることは出来ないよ」


葉加瀬は縁側の床に置いてあった、モッフモフのタオルを二つ手に取りながら言うのだった―――。

読んで頂きありがとうございます‼︎

遅れてすいませんッ‼︎ 急な諸事情と章作成に手こずりました……! 四十話も投稿してると、忘れてしまうんですねー。次からは気を付けます!

面白いと思って頂けたら、ブックマークと評価をお願いします‼︎

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