四十話 戦いの終わり
はい、やっと終わりです!
―――血塗れのナイフを捨てて、葛葉はスタスタと歩いていく。
「……葛っちゃん」
葛葉は緋月達のことには見向きもせずに、ルプスと奴隷の子達が居る部屋の前へ歩いていってしまう。
そして扉の前に着き、自分の両頬を叩いてから扉を開けた。
「それが君の答えかい?」
葛葉が部屋の中に入っていき、子ども達の声と葛葉の声が聞こえてくる。
聞こえてくる葛葉の声は、普段と変わらない普通の声で、たった今人一人を殺した者の声では無かった。
『―――緋月』
「ん? 葉加瀬?」
『地上の魔獣は掃討した、そっちは?』
「こっちも終わったよ。……葛っちゃんの勝ちだ」
『…………そうか。あの子に伝えてくれ、律と五十鈴が心配していると』
「うん、そうだね」
葉加瀬は、葉加瀬が所持している念話魔法で緋月に話しかけてきた。魔獣の掃討と、葛葉の戦いの終わりのタイミングが合ったようだ。
「のう、緋月よ」
「ん〜?」
奴隷の子達を引き連れ、部屋から出てきた葛葉を見守っていると、肩を突かれ声を掛けられる。そう声を掛けた人物は鬼丸だった。
「彼奴のこれまでの履歴を調べてくれんかのう?」
「履歴?」
「そうじゃ……彼奴はきな臭いからのう」
「う、うん。わかったよ、まぁボクも気になることもあるし」
「それじゃあ任せたのじゃ!」
そう言って、鬼丸は緋月の背中を叩いて葛葉の下へ向かっていった。
人使いが荒いなぁー、と緋月はジト目で鬼丸を見ながら、ため息を吐くのだった。
「―――んだよ、終わってやがったか」
とそんな中、足音を立てながら緋月のやって来た通路から姿を現したのは、柄の悪い青年――ガルンディアだった。
「あ、ホントだー。出番なかったね。……カミラ、治療お願い」
「はいはい」
その後ろから、羽衣やカミラが出てきて、更にまた後ろからギルド職員達が駆け付けて来た。
が緋月は、ギルド職員に「何処行ってたんですか!」「急に離れないで下さいよ!」と責め立てられ、耳を塞ぎ後方腕組み青年の下に、ニヤニヤしながら向かった。
「やぁやぁガルンディア君」
「……なんだよ」
「良かったのかい? 両親の仇なんだろう?」
「ケッ、別に構わねぇよ。……つっても、全くなわけじゃねぇがよ。まぁ、姉貴が無事なら何でもいい」
「ふぅ〜ん、じゃ葛っちゃんに感謝しないとね。……英雄に」
そんな緋月の言葉に、ガルンディアは何も答えずに、カミラの治療を受ける奴隷達と葛葉を、目を細めて眺めるのだった―――。
読んで頂きありがとうございます‼︎
過去最高ですね、この章の長さは。次回からは多くて二十五までにしたいなぁと思ってるんですが、自分に出来るかどうかわかりません! なので何も言わないことにします!
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