三十話
こんなに長くなるなんて……!
―――その戦いは圧巻の一言だった。
カナデは二人の戦いに開いた口が塞がらなかった。
自分よりも遥かに強い強者と互角に戦い、相手が自分よりも格下だからといって一ミリも油断を見せない強者。狭いこの空間で、まるで戦闘機のドッグファイトのように戦っていた。
「さぁ避けてぇみろやぁ‼︎ 『万物を切り裂け【オールズシュナイデン】』」
そんな中ヴァーンが高速戦闘中に詠唱をし魔法を放った。葛葉はすかさず回避を繰り繰り出した。
葛葉が疾走していった後には不可視の斬撃が跡を残していく。あの斬撃が、もし腕や胴にでも当たったら間違いなく真っ二つになるだろう。
(……っ。この距離から攻めるのは危ない……!)
不可視の斬撃が飛んでくる中、ヴァーンに真正面から攻撃を仕掛けようと近付いても真っ二つにされるだけだろう。
中距離の魔法か飛び道具があれば……あ。
「ある……!」
不利な状況に葛葉は一筋の光、活路を見出した。
だが現状ヴァーンの魔法が猛威を振るっているがため、今すぐに打開するのは非常に困難だ。
葛葉は咄嗟に近くにあった物陰にスライドしながらもどうにか隠れるのだった。
はぁ! はぁ! と走り回ったせいか、呼吸が荒く肩を激しく上下させて、呼吸を整えさせる。
(ライフル系は出せないけど……近代のハンドガンなら作れる!)
葛葉は手を胸くらいの高さに上げ、スキル『創造』を行使する。手を拳銃を持つ時の手にして、現代で最もメジャーな銃を創り出した。
絶え間なく飛んで来る不可視の斬撃により、葛葉の隠れている物陰である岩が、徐々に削られていく。このまま一方的に、葛葉がジリ貧の状態でやられるのかと思われた、次の瞬間。
ヴァーンとカナデの視線の先に、突如として目が焼き切れそうなほどの強烈な光が現れるのだった。そして同時に、鼓膜を劈くかのような爆音が襲って来たのだった。
「……くっ――!」
カナデの居る所でも、かなりの閃光と音のダメージがあると言うのだ、至近距離で食らったヴァーンはただでは済まないだろう。勿論それは葛葉もだが。
カナデがかなりのダメージが来た目をパチパチと瞬きをして、太陽を見た跡のような状態から正常に戻そうとする。だが、どうやらあまりすぐに治るものではなく、全くもって治らない。
目線を辺りにやっていると、ふと何かが視界を過った―――。
読んで頂きありがとうございます‼︎
いや〜三部最終章は長編になってしまいましたね!
ですが、多分あと少しで終わるはずです! きっと!
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