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二十四話 目に映る世界

今日はいつも通りです!

「……お、い。え……ゆう」


自分の力の無さや自分の無鉄砲で無責任な発言に、奥歯を噛み締め、爪を立てながら凄まじい力で拳を握っていると、弱々しく声が掛けられた。


「……リユルくん」

「お、前は……【英雄】、なんだろ。……だっ、たら……リリシヤ、を早く……こんなところから、連れ……だせよ」


弱々しいはずの声は芯のこもった強い声となって葛葉に聞こえていた。誰かを救う、そんな大層なことを今まで出来たことがあるだろうか? 自分は見捨てたことの方が多いのに。


「……こんな、程度で……絶望、したなんて……口が裂けても……言うんじゃ、ねぇぞ……‼︎ 俺は、お前を……信じたんだ、だか……ら、リリシヤ達、を。…………人を、助け、るんだよ……。だか、ら……ヘコタレ、てんじゃ……ねぇ……」


途切れ途切れの言葉が次第に間隔が広がっていく。彼の、リユルの、命の滴がどんどん溢れていっているからだ。彼の手に力は二度と入らない、彼の足は二度と大地を踏みしめない。彼の瞳に、美しい世界は二度と映らない。

愛する者さえ抱きしめれず、たった一人残して先に逝ってしまう。そんなの、あって良いわけがない。

でも、そんなことを思ったって、今の葛葉にできることなんて一つもない。アニメのチート主人公達のように生き返らせることも、仇を討つことも、助けることも……何もかもが出来ないし、出来なかった。


「……」


いつも言うことだけは一丁前だ。いざとなった時に、誰一人救えず絶望して膝をつく。泣きたいのは殺された方だと言うのに。


「自分に出来ることは……何も無いんですね」

「……」


葛葉の呟きに、ルプスは何も答えない。解なんてない、とても単純で難しい問いだ。

【英雄】なぞ、結局は幻想で成れもしない夢なのだ。葛葉には程遠いのだ。


「【英雄】様。あなたが弱いのは単純明快です……それはなぜか、覚悟が足りないんです」

「覚悟……?」


そんな一言で済ませることでは無いはずなのに、何故か腑に落ちてしまう。自分の覚悟は、足りなかったのか。いや、自分は覚悟をしていたのか?


「あなたの目に映るこの世界は、幸せと笑顔と笑いが広がっていますか?」

「……」

「違いますよね。……苦痛と呻き、渇望と欲望、醜さと悪逆。理不尽で世知辛い……【英雄】様の目には、どんな世界が映っているんですか?」


そうだった、この世界は幸せな世界では無い。何を勘違いをしていたのだろうか、今まで何を見てきたのだろうか。

幸せと笑顔と笑いが広がっている世界なら、目の前に死体があるはずがない。

足下にまで広がっている血の海もあるはずがないのだから。

読んで頂きありがとうございます‼︎

三部までこんなに悩んでる主人公っているんですね〜。まぁ自分で描いてるんですが。多分きっといつか、書き直しがされるでしょう! 多分。

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