十七話 酷いモノ
あはは……どうも社会不適合者です。
――ドゴォォン‼︎ という音が響き渡り、大地が断割し、木々が薙ぎ倒されていく。一瞬にしてその場は、巨大な台風が通って行ったのかと疑いたくなるような、そんな光景へと変わった。
「……吐くのじゃ」
「ひ、ひぃ!」
巨大過ぎる金棒を地面に置く。たったそれだけで、噴水規模のクレーターが出来上がった。怯えて涙を流す傭兵の前に立つ鬼。殺気だった目と声は、それだけで相手を殺せそうだった。
「……わしに二度言わせる気か? 葛葉は何処におるのじゃ……‼︎」
隠しきれない怒りが、憎悪が溢れ出していく。今、傭兵の目の前にいるのは鬼族最強の巫女、鬼丸だった。
「……い、言えない! 言いてぇよ、こっちだってぇ‼︎ でも、でも、あいつが! 許しちゃくれねぇんだ‼︎」
「何じゃと? ……なるほどのう。酷い"モノ"を施すのう」
涙と鼻水で、顔をぐちゃぐちゃにして傭兵は必死に鬼丸へ言えないことを示す。その必死さに、鬼丸も少し怪訝に思った時だった。鬼丸がこの傭兵に施された"術式"を確認したのだ。
「……『契約の悶呪』じゃな?」
「あ、あぁ! あの野郎に……掛けられたんだ!」
「……ふむ」
『契約の悶呪』とは、今から何千年も前の、神代の頃の呪いだ。その術式を施された者は、契約内容を第三者に打ち明けることを堅く禁じられる。これを破ってしまったが最期、施された者は『契約の悶呪』が発動し、悶え苦しみながら絶命するのだ。
「はぁ、使えんのじゃ……。仕方あるまい、ここは勘で行くとするかのう」
目の前の傭兵を蔑んだ目で見て、鬼丸は大きく深くため息を吐いてから、ニヤリと不適な笑みを浮かべた。
昔から、鬼丸は迷ったら勘でどうにかする! という脳筋思考で物事を考えていたのだ。何百年経ってもその思考は変わらず、時間が惜しい状態でもお構いなしでやってしまうのだった。
「…………―――っ。……こっちじゃな」
目を瞑って三十秒ほどしてから、鬼丸は目を開けて顔を向けた方向に歩き出した。それを眺めていた傭兵は、目を点にしてボソッと、
「何で分かったんだ……⁉︎」
呟くのだった。
読んで頂きありがとうございます‼︎
自分で宣言とかしておいて二日も過ぎるって、はっきり言って切腹もんですよね!
あはは、時代が時代なら火炙りの刑ですかね。
言い訳があるとすれば、午前中の用事で疲れ果ててしまい、ついさっきまでぐっすりしていた……ですかね。
明日……明日は必ず宣言した時間に投稿してみます!
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