十六話 ツンデレ?
すいません‼︎‼︎
「……何度も言ってる、俺は――」
少年が再び葛葉の言葉を、差し伸べた手を、拒絶し払い除けようとした、その時だった。少年の前に出てきた小さな、一人の女の子。確か名前は、リリシヤだったか。
「にぃにぃ! このお姉ちゃんは悪い人じゃ無いよ!」
「……り、リリシヤ? どうしたんだよ……急に。危ないから、兄ちゃんの後ろに隠れとけって言ったろ?」
「ううん……にぃにぃは分かってないよ! このお姉ちゃんは悪くないもん!」
兄に面と向かって、葛葉を庇うように両手を広げて、リリシヤは言う。必死に、葛葉のことを庇うのだ。ポカンと葛葉本人も驚き、リリシヤと言われた少女の兄も、ポカンと口を開けて驚いていた。
「お前だって、見てきたろ……? こいつら人間がしてきた事を!」
「それでも、このお姉ちゃんは悪い人じゃ無い!」
兄の説得に耳を貸さず、リリシヤはただ自分の主張を言うだけだった。そんな状況が暫く続いた頃、後ろの方で怯える子供達のことを面倒見ていた、リリシヤの兄と同じ位の少女が出できた。
「リユル……ここはこの人を信じてみよう?」
「――っ。リリカまで……」
少年の肩に手を置いて、優しい表情で少年に微笑む。葛葉の言葉が伝わったのでは無い、行動が伝わったのだろう。リリシヤが、葛葉が何回も傭兵と魔獣を倒す姿を、音を聞いていたから、リリシヤが勇気を振り絞って前に出てくれたのだろう。
そして、彼女達は信じる仲間がこの人を信じると言うから、彼女達は葛葉を信じたのだろう。
「……あぁもう! 分かった、分かったよ!」
少年は片手で頭を乱暴に掻きむしり、渋々と言った表情で、葛葉のことを睨め付けながら、承諾するのだった。
「俺らは、あんたの言い分を聞いてやる。ただ、俺は納得してねぇからな!」
頬を赤らめて、少年は……いや、リユルは納得? の意を示すのだった。それを聞き届けた葛葉は、頷いてから一歩半後ずさってから、口を開いた。
「危ないから、少し離れてね」
葛葉が忠告するとリユル筆頭に奴隷の子達が牢の奥へと移動した。
そして直ぐに、葛葉が腕を乱雑に振るった。すると、鉄格子が音を立てて何本にもなって、牢の床に落ちる音が響いた。
「さ、行こう!」
鉄格子を切り刻んで、出口を無理やりに作った葛葉は、奥に退避させていた子供達に向かって手を差し伸べ、ニコッと微笑むのだった――。
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