十五話 説得
六時には投稿できませんでしたね……。
――ガキンと金属と金属がぶつかり合い、火花を散らし、狭い廊下に甲高い音が反響する。
葛葉はすかさず、剣を受け止めている手とは反対の手に持ったナイフの柄を、相対している男の首に思いっきりぶつけた。
「はぁ……はぁ、これで三十くらい……?」
男が白目を剥いて膝から崩れ落ち、葛葉は膝に手を付いて浅く呼吸を繰り返す。
「あの子達は…………もう、鬱陶しいなぁ」
奴隷の子供達の下へ向かおうとして、また廊下の先から複数人の傭兵と二、三匹の魔獣がやってくる。
「良い加減……私でも怒りそうなんだけど……」
懲りずに何度も何度もやってくる傭兵達、魔獣達に痺れを切らしてきた葛葉が、ため息を深く吐きながら、低い声でそう言う。こんなことをしてるだけで、もう既に一時間は経とうとしているのだから。
「……『紅焔鎧』!」
トントンと床を爪先で突いてから、葛葉は無詠唱で付与魔法を発動させる。
淡い炎が葛葉を包み込み、そしてステータスの爆上、かなり距離があった増援との距離を、瞬きの間に詰めるのだった。
そして魔獣は全て殺し、傭兵を気絶させる。その動作はたった五秒の間に終わったのだった。
「……よし。早く行かないと……!」
ナイフを鞘に納めて、葛葉は廊下を走り出した。
ずっと戦い続けた足はプルプルと震えており、汗も既にかき始めていた。その疲れは表情にも出ていて、葛葉は奴隷達の牢がある部屋に入る前に、パン! と両頬を叩いて、自分のやる気をシャキッとさせるのだった。しばらく歩いて、目的の場所へ着いた。
「……お姉ちゃんと一緒に、ここから出よ?」
「…………またあんたか。さっきも言ったろ、俺らはもう大人は信用しないって」
「……」
睨み付けてくる少年に、葛葉は無理に作っていた笑顔を変えて、少年の言葉を真顔で聞く。
「……お願い。たった一度でいいから、人を……いや、私を信じて。絶対にあなた達を助けてみせるから」
少年と目線を合わせて、とてつもないほど意思の籠った声を、葛葉は少年に掛けた。
伝わるか……と心底不安を感じていた。人をどこまでも信用しないほど追い詰められた、この少年を説得するなんて、かなり大変なはずに決まっている。
たった一言で、この少年の心を揺り動かすことなんて、今の葛葉には出来るはずが無い……。
読んで頂きありがとうございます‼︎
いや〜六時はできませんでしたね。ですが、ここで宣言します! これからは六時半から七時半までに投稿することに決めました! 一時間の猶予があるので出来ます! 多分
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