十話 無能な上司……?
緋月は無能ではありま……せん?
――一方その頃。
「ギルド長! 報告です!」
ガヤガヤワイワイと騒がしく、急足の音が外から無数に聞こえて来るテント内で、緋月は何人かのギルド職員と話していた。そんな中、血相を変えテントに入ってきたギルド職員に、緋月は小首を傾げた。
「何があったの〜?」
「南東平野で、『オーク』三体と『オーガ』一体を目視しました!」
「うへぇぁ〜、何で居るの〜!?」
血相を変える訳も分かる。『オーク』と『オーガ』はかなり強力な魔物なのだ。
『オーク』の推定レベルが2〜4で、『オーガ』が3〜6というのが多い。正直この街の付近に現れてはいけない魔物だ。
「……仕方ない、ギルド職員を向かわせる」
「は、はい! それで人数は?」
「う〜ん、Lv.5以上の職員て居たっけ?」
オークとオーガの討伐隊としてギルド職員を行かせようとするが、敵が敵なので念には念を入れ、レベルが高い職員を募ろうとする。がロクにギルド長としての勤めを果たしていない緋月に、ギルド職員達の人数とレベルなど、分かるはずなく。
でもって緋月は、隣で他のギルド職員達の報告を聞いていた葉加瀬へ、顔を向けそう問うた。
「……4が二十八人、5以上が四人だね。まぁでも、スミノがまだ帰ってきてないから、実質三人だけど」
「うわ〜マジィ? う〜ん、じゃあLv5を一人と4を五人でどうにかしてくれるかい?」
「は、はい! どうにかやってみます!」
そう言って報告をしに来ていた職員は、足早にテントの外へ出て行った。
「はぁ、次の人〜」
テントの外に出て行ったのを見てから、ため息を吐いて、並んでいる報告待ちの職員達に、緋月はため息を吐いてから声を掛けた。
読んで頂きありがとうございます‼︎
緋月は無能というより……やる気が無いだけだと思います……。
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