六話 口は災いのもと
男の名前はいつ判明するんでしょうかねー
――廊下を歩いてかなりの時間が経った頃、傭兵達の追っ手が止んだ。今は、誰も居ない迷路のような廊下をただ進むだけだった。左右上下前方後方と三百六十度全てが、石で造られた壁だ。同じ光景の場所を歩き続けていたせいか、今となっては方向感覚も怪しくなって来ている。
「……つ、疲れた」
こんな迷路のような廊下を、カナデはどうやって葛葉の囚われている場所まで、やって来ることが出来たのだろうか……?
そういえばカナデには屋敷の場所も話したことない……。え、怖い。
「あの子……なんか目が怖いんだよね……」
毎回毎回、会う度に病的なまでの目で葛葉を見て来るのだ。正直、緋月や鬼丸よりもヤバさが段違いだったりすかもしれない。
「……――っ」
そんな事を思いながら歩いていると、足音が聞こえて来た。方向は目の前、前方からだった。
音的に二人。そして音の大きさ的に傭兵だとわかる。これもLv.2になったおかげだ。
「隠れないと……!」
どんどん近づいてくる足音に、ハッとして、咄嗟に物陰に隠れ、バレないように息を殺していると。十数秒して、
「お、おい、ギルドが勘付いたって本当か⁉︎」
「あぁ、本当らしい……。だから奴隷共の見張り役までが収集されんだろうがよ」
「おいおい……勘弁してくれよ。この街のギルド長は強ぇんだからよぉ〜!」
「泣き言言ってねぇで早く行くぞ! あのキチガイ野郎に殺されてぇのか?」
と会話をしながら、傭兵二人はそのまま走り去って行った。
「……キチガイ野郎、ね。うん……言い得て妙ってこういうことを言うのかな?」
あの、人を殺し狂笑を浮かべる狂人の顔を思い浮かべて、葛葉は苦笑を漏らした。
傭兵達が、走り去って行った方向とは反対の道を歩き始める。あの傭兵達は大いに口を滑らせた、見張り役だと。
「早く、助けなきゃ!」
歩くスピードを上げて、走り出す。一刻も早く助けなくてはならないのだから。
読んで頂きありがとうございます‼︎
今日はかなり早い投稿が出来ました! これからもこの調子で頑張っていきます!
面白いと思って頂けたら、ブックマークと評価をお願いします!!