十八話 仲間外れの密会……。他意はなし
悪い意味では無いですよ!
――三十分前。
「で、何なのじゃ? この集まりは」
「……」
「葛葉さん抜きで、お話がしたいって……一体何なんですか?」
葛葉が暇すぎて死ぬ〜と呟き、屋敷を出て行ってから数分経った頃、律と五十鈴、鬼丸達がリビングに集められていた。
そしてその三人を集めたのは、他でも無い緋月であった。
「単刀直入に言うよ。今この街には、奴隷商が来てるんだ」
『――っ⁉︎』
三人の反応が見事に揃い、三人ともきちんと話を聞く雰囲気を作り出す。
「帝国国籍の商人がやっていてね、王国政府は手の出しようがないのだとか〜」
「ほう、帝国とな?」
「厄介な国ですね〜」
鬼丸が国の名前を確認して、律がうへ〜っと嫌な顔でぼやく。五十鈴は特に反応はしなかった。
「……それは良いとして。何故、葛葉様が居なくなったこのタイミングでなんですか? 緋月様」
「……」
その五十鈴の問い掛けに、緋月は黙り込んでしまう。鬼丸も律も、一応は気になっていたことだ。
緋月を真っ直ぐに見つめて、その問いに答えるのを待つ。そして、
「――いやだって、葛っちゃんに話たらすっ飛んで行きそうじゃんか」
『……た、確かに!』
五十鈴も律も、そして鬼丸までもが声をハモらせて、緋月の回答に納得の意を示しす。
葛葉自身は大したことないと言うが、五十鈴達にとっては大した人物だ。普段は消極的なのに、いざ事が起きると目の色を変えて、それを鎮めようとする。
その最中の背中は、まさに【英雄】だ。
「だからこうして、みんなに話してるんだよね」
「分かりました……それで、私達に何をさせたいんですか?」
「ふっふっふ〜ん、それは簡単だよ……」
「――君たちには、奴隷の解放をお願いしたい」
緋月が言うよりも早く、リビングの扉を開けて入って来た人物、ギルド職員二名を連れた葉加瀬が、五十鈴の問いに答えたのだ。
「……え、葉加瀬? し、指揮は⁉︎」
「指揮なら平気だよ、これから意味が無くなるだろうしね」
『……?』
葉加瀬のそんな曖昧な答えに、緋月を含めた全員が首を傾げる。
窓の外に目線を向けていた葉加瀬が、視線を戻して緋月達に向き直る。葉加瀬の手には、何かしらの丸められた紙が握られており、その長さはざっと刀くらいだ。
「……詳細を話そう」
葉加瀬がパチンと指を弾き音を鳴らすと、後ろに控えていたギルド職員がテキパキと動き出すのだった。
読んで頂き、ありがとうございました‼︎
四章もかなり終わりに差し掛かっています! この先どんな展開になるか、皆さん楽しみですよね! ですよね!
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