二話 悲劇の襲来
何で自分でもこんな発想が出て来るんでしょうか……。
「……『太古の猛吹雪』」
そんな呪文が聞こえると同時に、寒いと感じた時だった。次の瞬間、目の前が白に覆われ轟音と共に体が吹き飛ばされる感覚に襲われて、ガルンディアの意識は途切れた。
「――ル‼︎」
朦朧とした意識が、投げかけられる声に徐々に覚醒していく。
「――ガル‼︎」
そうはっきりと聞こえた瞬間に、意識が完全に覚醒して、全身に力が宿るのを感じた。
「よかった……。大丈夫? それ、痛くない?」
声が投げ掛けられる方向を見やれば、心配そうにガルンディアを覗き込んでくる姉の顔があった。
「……何も、痛くないよ」
視界が少し赤色に濁っている気がするが、痛みは無い。何処にも痛みはなかった。
「……なら良いけど。痛いって感じたら、お姉ちゃんに言ってね」
姉はそう言うと、ガルンディアの背に手を預けながらゆっくりと体を起こしてくれた。
ガルンディアはその間に、煙臭い辺りを見回した。すると、
「――ぇ?」
辺り一面が炎に覆われており、人が焼け焦げ死んでいく匂いに、血を垂れ流す死体がすぐ目の前にあった。
瓦礫の下敷きになり圧死している者が居れば、確実にこの里の住人では無い人間に剣で切りつけられ、怯えながら必死の抵抗している女性の狼戦族が居た。まもなくして女性は首を切られ、身体から力が抜けていくのが見えた。
だが人間の男は、何故か興奮したように息を切らし自分の股間を弄り始め、女性の亡骸の服を剥ぎ取り、殺して直ぐに死姦し出したのだ。
「……何、コレ……?」
「ガル……」
姉は目を背けるが、背けた先にも虐殺や強姦、とにかく非人道的行為が行われていた。
「――っ! ママは⁉︎」
そう姉に大きな声で尋ねると同時に、遠くで聞こえていた剣戟の音が近付いてき、煙の向こう側から人が飛び出して来たのだった。
「――ック。はぁ……」
それは紛れもない母だった。肩から血を垂れ流し、いつもは優しい母の目が憎悪と殺意に溢れていて、その姿は正に狼のようだった。
「くっくっく、どぉうしたぁ?」
そしてまた、煙の向こう側からやって来るのは細身で長身の男だった。緑色の髪に悪魔のような顔、丸メガネを掛けて白衣を着ていた。
「……貴様等! このようなことして、ただで済むと――‼︎」
母が男に大声で牽制しようとして、それを遮られた。男は心底興味ないと言った顔で、耳をほじっていた小指を親指で弾く。
「ざぁんねぇんだったなぁ。あんたぁ等のこの里の、代表だったかぁ? んまぁなぁ、傭兵どもどなぁ里の中央で偉っそうにしてたジジイ共はなぁ、全員死んでんだよぉ」
癖のある喋り方で男はそう、何処か楽しげに
笑いながら言うように、この場にいる全員に聞こえるように言うのだった。
それ聞き、生き残りの狼戦族達の足から力が抜けて行った。それは例外なくガルンディアの母にも姉にも、そして自分自身にも当てはまって居た。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
はい、今回は少し酷いですね。今までもかなり残酷な表現は多かったですが、今回は胸糞系の残酷シーンが多いですね……。
あ、安心して下さい! 自分は死姦に興奮する人ではないので!
面白いと思って頂けたら、ブックマークと評価をお願いします‼︎