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六話 Hな人が作れって言った服は当然Hなんです

立て直せてますかね?

「君も無茶するねー」


千佳は葛葉に自作の防具を手際よく着させる。千佳は葛葉が何をしていたのかを知っている。葛葉は十二時間も戦いに明け暮れ、力が尽きるまで戦いまくり、傷だらけで帰ってきたのだ。


「ジャージ一枚で、よく生きて帰ってきたねー」

「……」


千佳は防具の不備がないかを確認するため、ペタペタと葛葉の体を隅々にまで触る。直立不動の葛葉はだんまりの状態のまま、千佳の話を聞く。


「ちゃんとよく寝たの?」


最後の確認が終わり千佳が立ち上がる。千佳と葛葉の目線が同じになり、葛葉の顔を覗き込みながら尋ねる。


「……あの」


葛葉は千佳の発言に何も反応しせずに、


「こ・れ・は! どう言うことですか!?」

「……え?」


葛葉は千佳を壁に追いやり、バンッ‼︎ と壁に手を強く当てて千佳の逃げ道を無くす。壁ドンを披露した葛葉の顔は真っ赤だ。ついでに千佳も。

何故葛葉が真っ赤なのか、自分で壁ドンをしてしまったからかなのか。否、原因は今の葛葉の格好だ。


「これ! この服‼︎ この服はなんですか!?」


声を大にして葛葉は千佳に問う。

今の葛葉の着ている服は、ノースリーブで背中が大きく開いているデザインのセーター……そう、童貞を殺すセーターだ。(通気性はいい)


「な、何って言われても、それは君の防具だよ?」

「な、ななな何でこんなデザインなんですか!?」

「あはは……」


千佳は葛葉の発言に口を引き攣り、目を泳がせから笑いを浮かべる。そんな千佳の行いに、葛葉はこいうのが好きそうな人の顔が脳裏に浮かぶ。


「……緋月さんですね」

「うっ……分かっちゃうよね」

「当たり前ですよ……」


こんな頭のおかしい服を作ろうとは誰も思わないだろう。緋月なら絶対やりそうだが。というか、今更にあの時の言葉の意味がわかった。なんで防具を最初に見たがってたのか……そう言うことだったのか。


「……これ、どうにも何ないんですか?」

「どうにもならないね。防具を変えたいなら追加料金が掛かっちゃうし……」


本当、やってくれたなあのギルド長。帰ったら問いただして、泣くまでえらい目に合わせてやる。

拳を握りしめ含み笑いをしながらこの後、緋月をどうするかと考え込む。ゴゴゴとある筈ない黒い炎が可視化され、すごい熱気が生まれる。


「緋月は相変わらず後先考えないんだから」


と言いながら手で十字を切る千佳。千佳は緋月のことを庇う気なぞ一切ない。これは自業自得だし。

まぁ、それに乗ってしまった自分も悪いのだから、制裁が与えられる時になったら潔く受け入れよう。


「あぁーもう! どうしたら……」


自分の防具を見下ろしながら、葛葉は頭を抱える。こんな服で街なんか歩いた暁には目線がやばいことになるに決まってる。

ギルドからここまでは歩いて十分。絶対に誰かに見られるだろう。そうしたら、葛葉はお終いだ。社会的に死んでしまうのだ。


「あぁ、心配しなくて大丈夫だよ。それは防具なんだから」

「……防具って言ったってただの布じゃ?」

「その魔性糸は魔力を込めることで本領を発揮するんだよ。さ、その福に魔力を込めて見て?」

「込める?」


そんなことを言われてもどうすればいいのか。スキルとかなら呼吸をするかのように楽だが。魔力関係になると急激に難しくなるのだ。魔力を操作するにはかなりの集中力が必要となる。

しかも、その集中力が駄目駄目の場合、魔力暴発を起こすらしい。教本で読んだことだ。


「んー難しいか。なら、魔力を血流だと思えばいいんだよ」

「血流……?」

「血が流れる感覚で、服も体の一部として、血を送る感覚だよ」


なんか、もっと複雑になってない?

と胸中で思うが取り敢えず、言われた通り魔力の流れを血流に変える。そしてこの服を体の一部として、服に血を送るように……。そう瞑想していた時だった。葛葉には見えないが千佳にははっきりと見える。


「始まった。上手くいってよかった……」


葛葉が着ている服に徐々に水色の線が浮き上がってくる。そしてハッキリとそれが浮き上がると、次には胸、肩、肘、膝、と軽装が出来上がる。腰にはついでに作られたナイフもしっかり装着されている。


「――っ、予想以上だ……」


その防具のあまりの出来に、千佳は目を見張ってしまう。完璧なまでの造形美、主人を守らんとする服の意思、それが千佳には感じれるのだ。最後にスカートが生成され、戦いに特化した姿に早変わりだ。時間にして五秒。プリキュアとかは確か一分くらいだが、この防具はそれらを圧倒的に凌駕する。


「ん、なんか重い……って、何!?」


瞑想から現実に戻ってきた葛葉は、先程までとは違う自身の姿に目を疑った。先程までは、背中が大きく露出し太腿までの丈があるセーターだったのに、今は軽装が葛葉の体を守っており太腿までのだけからスカートに変っていたのだ。

そして注文通りの黒と水色の、ちょうど良いバランスが格好いい。厨二心をくすぐられる。


「これは……」


不思議な現象にオドオドしていると、背後からの殺気に咄嗟に反応する。

読んでいただき、ありがとうございました‼︎

なんか自然と気になるところで終わってしまいましたね。嬉しい誤算です! 次話も楽しみにしてくれると嬉しいです‼︎

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