十三話 作り直す
遅くなってしまいました。
だが緋月の場合一雫や二雫ではなく、大汗だ。サウナにでも入っていたのか? と問いたくなるほどに。
「……ほう。これが神話級……」
「緋月さんの魔力でも足りないなんて……」
「……勘違いしてるようじゃな?」
「え?」
感嘆の息を漏らして目の前で行使されている魔法に見入る鬼丸、その横で葛葉は一応尊敬している緋月ですら簡単に行使出来ないと驚愕を受けていた。
そんな中、鬼丸が葛葉を一瞥してから間を開けて、顔を覗いてきた。
「神話級とは、神が扱かったとされる物の総称でありランク付けじゃ。故に、神話級をそう易々と行使できるのは……一人くらいじゃろうな。じゃが、そやつも三回限りが限度じゃ」
「……その一人って、さっき言われてた【賢者】?」
「答えはノーじゃ」
緋月が言っていたのは【賢者】という人物だったが、どうやら鬼丸の考えている人物は違うらしい。
【賢者】さんは媒介無しで出来るらしいが……。
「【賢者】は一回限りじゃな。わしが言っとるのは……人類の巫女のほうじゃ。其奴は神話魔法を、かつての戦場でも行使していた」
「人類の巫女……」
巫女はこの世にいる全種族の下に出現した……現人神のような者達のことを言う。
一人一人が神話級の力を持っていて、自分達の種族を勝利に導く存在。それが人類にも居たとは……でも停戦から約七十年。その人は生きていたとしても、とうに還暦を迎かえているはずだ。
「じゃが、わしには無理じゃな。神話級は扱えんのじゃ」
「……鬼丸はどっちかって言うとバーサーカーだからね」
「おかしいのう。わし、魔法は使ってるはずなのじゃがな〜」
強化魔法やスキルを使わずに、素の能力のみで高レベルの三人と互角以上に殺り合える人物が、バーサーカーでなくてどうする。魔法剣士では可愛すぎるくらいだろう。
「……五十鈴。大丈夫そう?」
「くっ。は、はい。何とか……平気です」
至って辛そうだが、きっとあと少しの辛抱だ。
屋敷に目を向けてみれば、いつのまにかに屋敷は光に包まれていた。壊れ、崩れていた箇所は修復されており、外壁を覆っていた苔や蔦も取り除かれていく。
――神話魔法『創生』……作り直しの魔法は何もかも作り直してしまう――。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
人類の巫女。強そうですね〜、出て来るか分かりませんが!
面白いと思って頂けたら、ブックマークと評価をお願いします‼︎