五話 幸せ死……って主人公が死んだら駄目でしょ!
きょ、今日はちゃんと投稿できました!
ここからもう一回毎日投稿に戻したいと思います!
「さて、少しは凝たかな?」
「「すいません……」」
しょぼんとする葛葉と一の正面に座っている葉加瀬は、二人にプレッシャーを掛けながら問い掛ける。葛葉と一は小さくなり、二人同時に謝る。
「……はぁ、全く。君達は緋月では無いだろうに、なんだってそうボケるかな?」
「……え?」
「そんなの」
「分かりきってる」
「事じゃ無いですか?」
二人は一度顔を見合わせ、交互に喋る。さぞ当たり前のことを話すように、何か問題でもあるのか? と言う顔で。
「「そこにツッコンでくれそうな人が居たから、ですかね?」」
「……エセ関西弁、口調が戻ってるいるよ」
「ありゃ」
二人の物言いに呆れた葉加瀬は、標準語に戻っている一に指摘する。葛葉はやっぱエセ関西弁なんだったんだ! と一人納得が行った。
「……で、葛葉ちゃんはこの世界でまだ知りたい事は、あるかい?」
「いえ、特には。この新聞紙で大体は分かりましたから」
「そうか。……どう感じたかな?」
「感じた?」
葛葉の首は葉加瀬の意味深な質問に自然と傾いてしまう。感じる? 何を感じるんだ? 一体どゆこと? とはてなが葛葉の脳内で弾ける。
「……あ、言い方が悪かったね。……君は、この先どうする? この世界の取り巻く現状の打破でもするかい? それとものうのうと異世界を楽しむかい?」
葉加瀬は葛葉のことを試しているのだ。
葛葉はそう、すぐに感じた。こんな質問をして、そんな目を向けてくる。何故試す必要があるのか、葛葉に何を見出しているのか。空っぽの器には何が入っているのか?
「私は……両方とも叶えます。魔王軍を倒して、のうのうと生きる。そうします」
「強欲だね」
「そうですか? 私は前世もこの世界も無い無い尽くしなんで。無い無い尽くしの私が欲しがっては駄目ですか?」
葛葉は自嘲を交えて、葉加瀬の意地悪な質問に答える。葛葉の解答に葉加瀬は面白そうに聞き。一は二人の顔を交互に見ている。
「駄目では無いな。でも、君に両方を叶えることが出来るのかい?」
「……いえ、きっと出来ません。弱いですし……でも、出来る出来ないじゃなく、私は私がやると決めたことをするんです。前世ではそうやって、出来ない出来ないと言い訳並べて、誰からも逃げて、後悔しましたから」
「そうか。……意地悪をしてしまったね」
「いえ、覚悟が決まりました」
葛葉の顔はさっきとは違う。先程まではこの世界のこと、自分がこの世界でどうするのか。果たして自分に一つの世界の命運を動かすことが出来るのか。
そんな疑問ばっか考えていた。腹決めかねていた。でも、これで決まった。自分に、空っぽの器には何が入っているのか。答えが出た。
(器には何も入ってない。何も入ってないんだ……なら! 何かを入れる事が出来る。この空っぽの器には何もかもが入る‼︎)
決心がやっと着いた。……着くのが遅いかもだが。
なら葛葉のやることはひとつだ。それは何か、強くなることだ。強くなってこの世界の命運を動かすに足る、そんな力が必要だ。成り上がるしか無い。
「……どこに行くんだい?」
「……強くなりに」
葛葉はそう言い残し、ギルドを後にした。――それから十二時間後に葛葉は帰ってきた。
これからもジャンジャン投稿していきますよ!