八話 徐々に明かされる過去
緋月の過去は本編ではあまり触れないで、本編がかなり進んだ頃に外伝で書こうとは思っています!
「——構わないかい?」
オリアギルド支部地下、誓約の間。淡い光に緋月の横顔が照らされる、だがそれは緋月の眼前にいる人物にも同じだった。
両手首両足首を鎖に繋がれ、首には大きな枷が掛けられている。服は着ていなく、髪はかなり伸びていた。一目見ただけでも、その人物は女性だと分かる。
「……」
「君の家をボクの大切な弟子にあげちゃっても」
「……緋月ちゃん」
女性は緋月のことを一瞥して、久しぶりに口を動かした。
「――もぉ〜‼︎ お姉さん、寂しかったんだぞ〜‼︎」
とガシャガシャ、ぽよよんぽよよんと擬音を鳴らしまくり、女性は緋月に顔を寄せた。
驚く程に整った顔に、きめ細やかで色白の肌、サラサラと淡い光に照らされるこの世界では珍しい黒髪。外見だけでも彼女の育ちが貴族なのだろうと伺える。
「……シリアスな雰囲気を返してくれない?」
「しりあす? お姉さん難しいの分からな〜い」
はぁ、と緋月がため息を吐いて先までの雰囲気から一転して、ほんわかな雰囲気を纏う。
「……まぁ良いけどさ。それで、返事はどうなのかな?」
「んー? 私のお屋敷のことでしょ〜。良いよ、もう私は住めないし」
「――っ。……ごめん」
彼女の言葉に、ハッと小さくも緋月は衝撃を受けた。息が詰まり、胸が苦しくなる。そして俯き拳を握り強く握りしめる。不甲斐なかった自分を傷付けるように、強く強く。
そんな緋月を見つめる、女性は少し微笑んでいた、表情を暗くさせる。枷が無ければ、今すぐにでも抱きしめたい、あなたのせいじゃないと耳元で囁きたい。そんな衝動に駆られてしまう。
「緋月ちゃん……。私は何回も言ってるよ、気にしないでって」
「でも……」
「どうしようもないことだからさ」
慈愛に満ちた微笑み、達観したような微笑み。生き生きとした瞳、死んだ魚のような瞳。彼女がどうにか取り繕っている表情は、緋月には全てが反対に見えてしまう。
彼女の長く幸せな人生を奪ったのは緋月なのだから。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
緋月はどんな過去を過ごしたのでしょうかね! 気になる過去が、完全に明かされるのはまだまだ先になってしまいますが、楽しみにしていて下さい‼︎
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