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TS化転生っ娘は、ちょっとHな日常と共に英雄になるため、世知辛い異世界で成り上がりたいと思います!  作者: んぷぁ
第三部 三章——わっくわっくのみんなで暮らせる一軒家!——
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七話 油断はやっぱ禁物やね

遅くなりました!

「葛葉!」

「葛葉様‼︎ ……くっ!」


貫かれた腹部からは血が滝のように流れ出ている。想像で治そうにも、この根っこが刺さってしまっていては意味がない。このままでは葛葉は大量出血で死に至る。

鬼丸が火の火力を上げるが、根っこの力が揺らぐ気配もなく、逆に力がました気がした。


「ぐっ! ぁあああ‼︎」


痛い、痛過ぎる。今までこんなにも痛い思いをした事があったろうか。葛葉の痛々しい叫びに呼応するように、鬼丸の魔法の火力が一気に弱まった。そして同時に根っこの力も少し弱まった。


「う、ぁう。うぅ」


葛葉は息も途切れ途切れになり、ただ苦痛に表情を歪めて唸っていると、盾を持った五十鈴が雑草の背後から姿を現して、殺気の籠った目で雑草へ襲い掛かる。跳躍し、屋敷の壁を一時的に地面にし、全力で壁を蹴った。


「――葛葉様からっ‼︎ 離れろッ‼︎」


弾丸のような速度で、五十鈴は雑草の核部分に盾を刺しこんだ。十字の盾の縁は鋭利で、ワイバーンの皮膚にも傷を入れれる鋭さだ。故に茎が身体の雑草達は、この盾の攻撃は防ぐ事が出来ない。

そして、核に刺さった盾を縦の向きから横の向きへと変えると、五十鈴は一気に斬り払った。


「……うぅ」

「葛葉様!」


地面から三メートル程離れた高所で吊るされていた葛葉を、五十鈴は急いで下に潜り込みキャッチした。

奇しくもそのキャッチの体制は、お姫様抱っこだった。


「葛葉様、これをっ!」


五十鈴は自分の戦闘服のポケットから緑の液体――回復液のポーションを取り出し、葛葉へ手渡した。痛みに堪えながら葛葉は、受け取ったポーションのコルクを親指で開け、ゴクゴクと一気に飲み干した。


「ご、ごめん。油断した……」

「大丈夫ですよ。私は、葛葉様が無事なら……!」


安堵し、五十鈴は葛葉に微笑みかけながらそう言った。大きな怪我は大体回復でき、後は想像で回復させれば余裕で治る傷だ。いつもよりも、痛かったが……いや、いつも痛くないと感じてる時点でヤバいのか。


「……五十鈴、律のことお願い」

「はい、分かりました」


葛葉は、今も壁尻状態で気絶している律を指し、五十鈴に介抱させようとする。かなりのスピードで吹っ飛んだのだがら、そうそう起きないだろう。五十鈴が律に、駆け寄っていく後ろ姿を眺めていると、隣に鬼丸が並び立った。


「……すまぬのじゃ。わしがもっとちゃんとしていれば、こうはならなかったのじゃが……」

「……? 何が?」


唐突な謝罪の次には、鬼丸が顔を俯かせて悔しそうにそう言ってきた。


「わしが戦えば、傷付かないで済んだのじゃ」

「別にいいよ、私の戦い方はいつもこんな感じだしさ。今更だよ」


鬼丸の頭に手を乗せて、葛葉は優しく撫で始める。鬼丸がそれに驚き、顔を上げると、葛葉が鬼丸に向け優しく微笑んだ。


「……そうじゃな。じゃが、戦い方は改善した方が良いのう〜」

「うっ!」


フッと鬼丸も微笑み、そう苦言を言ってやった。

読んで頂き、ありがとうございます‼︎

鬼丸も真面目なところはあるんですよ!

面白いと思って頂けたら、ブックマークと評価をお願いします‼︎

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