六話 新たな傷気⁉︎
タイトルは正常です。
「よし、このまま!」
順調に数が減っていっている雑草の妖精達。律の方も難なく倒せているみたいだった。順調に、順調に物事が進んで行く……訳も無く。
「――っ!」
武士のように刀で雑草の妖精の身体を一刀両断していた律。倒した数は十五くらいは達していた頃だった、ズズズと這い出る物音に顔を向けて見れば、そこには律の身長の三倍はありそうな雑草の妖精が佇んでいたのだ。
「…………え、えーっと。……くじゅはしゃん、助けて下さいぃ……」
じわっと涙を溢れさせ、律は反対側で戦っている葛葉へ助けを求めるのだった。勿論葛葉達も巨大な雑草には気付いていた、だが三人ともマジか……と言った表情で驚いており、助けに入るのが、少々遅れてしまったのだった。
「……っ、律っ――‼︎」
巨大雑草が根っこを動かし出すのを目撃した葛葉が、急いで律に声を掛け、手を伸ばしたが届かず。鞭のように根っこは律の身体に直撃してしまった。あははっと諦観の微笑みを浮かべた律は、超巨大の鞭に叩かれて屋敷の壁にめり込んでしまうのだった。
「わー痛そう……。…………ん〜、うん、良い眺め」
律の今の状態は、頭から壁にめり込んでしまったがための、頭隠して尻隠さずのように、壁尻状態だった。
「……不味いかな、これは」
律が戦闘不能に陥り、巨大雑草の前に残るのは葛葉だけだった。他の雑草達も、巨大雑草を守るように前に出てくる。
多勢に無勢、それに相手には大将格が一体だけ居る状態、士気も上場。はっきり言って勝つことは不可能だろう。
そんなこんな考えていると、
「なぁに、簡単なことじゃ!」
隣に並び立ち、葛葉の方に手を乗せて、相手を挑発するには十分過ぎるドヤ顔で、鬼丸が呟く。
「燃やせば良い」
ボッと全部の雑草の妖精が発火し出し、それは必然的にも巨大雑草にも起こった。鬼丸の魔法での攻撃、この攻撃の意図を読むのが今回の葛葉の仕事だ。
「……これで!」
と安堵したのも束の間、燃え盛る炎の中から飛び出して来る二本の根っこ。
「――っ⁉︎ ……ヤバッ!」
油断をし過ぎていた葛葉は、まんまと根っこに捕まり手首を抑え付けられる。どうにか足をバタバタと激しく動かすが、かなりの力で掴まれている手首は離れなかった。
そして、手首を掴んでいるのとは反対の根っこが葛葉に先を尖らせて狙いを定めていた。
「やっ――ぐっ⁉︎」
呟きすら許さない超スピードで、葛葉は腹部を根っこに貫かれてしまったのだ。根っこの大きさは、だいたい成人男性の一般人よりちょっと鍛えてる人、並の大きさなのだ。
「ぐっ………うぅぁ…はぁ、はぁ。――っ」
痛みにはそれなりに耐えれると思っていたが、それは死線で戦いまくりアドレナリンが大量分泌された時の話らしい。今みたいな、アドレナリンが大量分泌されるような局面では無いからか、物凄く痛い。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
いや〜、まぁそうですよね。ハイになってない、シラフの状態で腹部に穴開けられたら、激痛なんて物じゃないですよね……。
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