八話 休憩時間
二話連続で少し過激でしたのでね、今日のはのほほんとしたお話です。
「……ん」
「あ、起きた?」
パチパチと瞬きを繰り返す鬼丸。葛葉は鬼丸が起きたことに気付き、上から鬼丸の顔を覗き込みながら尋ねた。鬼丸は数瞬沈黙してから、静かに腕を動かしだした。
「……? 鬼m――」
「――……ふむ現実の様じゃな」
もみもみ……。顎に片方の手を当てて、鬼丸はワインや何かの趣向品を目利きする、ソムリエのような顔付きで呟くのだった。
「寝起き早々、人の胸揉まないでくれる?」
「何故じゃ! 減る物じゃないのじゃから少しくらいよかろうて!」
「必死すぎじゃない? 普通にキモい」
「シンプルが一番傷付くの〜」
鬼丸の手を胸から引き剥がし、葛葉は不満を述べるが鬼丸は反省の色なしの様だ。言葉のナイフを鬼丸にめった刺しし、鬼丸がたは〜っと言った表情で身体を起こす。
「して、葛葉よ。わしはどのくらい気絶しておったかのう?」
「ん〜ざっと、二時間かな」
「なるほどのう。ならば、ここに居ない孫娘達もそろそろ来るのう」
「けど、大丈夫かなぁ……?」
上の階層に取り残してしまった二人。葛葉は長時間の正座でジンジンする脚を労わりながら、この階の天井を見据える。オールランダーの律に、鬼族巫女候補の五十鈴が居るのだから、そうそう死なないだろうが。
「……そういえば、鬼丸は何で走ってここまで?」
「ん? そうじゃな、早めにここのボスを討ち取り葛葉に、よしよしして欲しかったからかのう」
「そ、それだけのために、ダンジョンの中で逸れたんだ」
よしよしの為だけに危険を犯す。最強たる所以なのだろうか。
だが、本人には言わないが葛葉は鬼丸が寝てる間に、よしよしやら頬をぷにぷにやらをしていた。何故そんなことを? と言われると可愛いかったからだ。
「後でいくらでもしてあげるよ」
「ほ、本当なのじゃ⁉︎」
「うん、本当」
「わーいなのじゃ〜‼︎」
鬼丸が容姿の通りにはしゃぐ様を、葛葉は微笑ましく眺めていると再び、スライムがやって来た、大扉が動き始めた。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
伴侶の関係っていうか姉妹ですよね、これ。まぁそれがいいんですが。
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