七話 エロは世界を救う
やっとHが本気出しましたね!
そんなスライムのお楽しみの時間に横から茶々を入れたのは、スタスタと両手に魔獣の頭を持ちながら、ゆっくり歩いてくる鬼丸だった。
「お、鬼丸⁉︎」
「ほほぉ〜わしも混ざりたいのぉ〜」
葛葉が首だけ動かして、鬼丸へ視線を向ける。すると鬼丸は魔獣の頭を投げ捨てて、ひもじいそうに葛葉に目を向けてきた。
「な、何言ってんの……? お願いだから助けて〜!」
「……ふぅむ。このまま見るのも一興じゃが……また今朝のようになりたくはないからのう。しかないのじゃ〜」
鬼丸は非常に残念そうにため息を吐いて、後頭部を掻きむしりながら、『レッドスライム』に近づいて行く。
『レッドスライム』は葛葉の身体を弄るのを—肌にある汚れを食べるのを—楽しんでいたのに、邪魔をしてくれた鬼丸に大変ご立腹だった。既に五本ある触手に加えて、更に自身の体から倍の数の触手が鬼丸に伸びていった。そして更に、
「えっ!?」
ジュゥゥゥウと溶けて行く戦闘服。パンツもスカートも溶けていき、臀部や鼠蹊部がどんどん露出して行く。
「ちょちょちょちょ!」
そして終いには胸部も溶け出して行く。このままでは確定でR18禁の同人誌になってしまう‼︎ もう遅いが。
そして無数の触手が鬼丸へ迫る。鬼丸はそれをニッと口角を歪ませ、愉快愉快みたいな顔で眺めるだけ。そのまま触手は鬼丸の身体に巻き着いていき、数秒ウニョウニョウネウネとしていた触手が、圧縮袋のように一気に縮んだ。
「……お、鬼丸」
常人が食らえば、全身の骨が折れ砕けあらゆる方向に曲がり、内臓が破裂して頭がパンクし眼球が飛び出て壮絶な死を迎えただろう攻撃。常人ならば。
「――Lv.3にしては、まぁまぁ良い攻撃じゃなぁ。じゃが、わしには勝てんよ」
触手が吹き飛び、中から服すら溶けていない無傷の鬼丸が出て来た。
そして鬼丸の手には『レッドスライム』の核が握られており、鬼丸はまさに鬼の様な笑顔で握りつぶした。
「……ふぅ、いやぁ〜色々と危なかった」
ドロドロと『レッドスライム』はただの液状の物体となり死んでしまう。てか、Lv.3だったんだ。
身体中の液体を払いながら、葛葉は同時に戦闘服に魔力を込めていき、爆速で修復させて行く。そうしてると、
「さて……葛葉よ!」
「あ、鬼丸。ありが……?」
葛葉の目の前にやって来た鬼丸が、葛葉に声を掛ける。葛葉は鬼丸に礼を言おうとして、声と顔を俯かせている鬼丸に不安を覚えた。
「葛葉よ! わしはあの続きが見たいのじゃ!」
「はぁ⁉︎」
「さぁ、早く脱ぐのじゃ‼︎ あ! 案ずるでないぞ! わしも脱いでやるのじゃからな! そして一緒に全裸で絡まり合おうではないか!」
「…………」
そんな鬼丸の言い分に、葛葉は沈黙してから表情を無くして俯き鬼丸の下へ寄ると、鬼丸を抱く様に掴んだ。
「ん? 何じゃ、うぬもその気じゃったのか……。……フフ、安心するのじゃ、わしに全てを――」
鬼丸は気付かない、暗い顔に二つの真紅の光が宿っていることに。
そして葛葉は両腕に力を込めて、深呼吸をしてから鬼丸に対し、盛大にジャーマンスープレックスをかますのだった。
「くぶへぇ‼︎‼︎」
頭からモロに落ち、ダンジョンに鬼丸のそんな低い断末魔が響くのだった――。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
いやはや、伏字に続き臀部に鼠蹊部が露出すると言う描写が出てくるとは……。本当に本気出して来ましたね。
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