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五話 僕は悪い○○じゃないよ

みんな大好きだよね!?

突き当たりの右の道からニョキっと顔を出して来たのは、異世界ではお馴染みのスライムだった。


「スピード上げて!」


葛葉がナイフを構え、走る速度を上げ始める。スライムは、基本的に物理耐性が高く魔法耐性も高い高スペ魔獣なのだが、個体によって核が露出していたり丸見えだったりしている。

核を破壊すれば死ぬ。だから倒すことは簡単だ。簡単なのだが……。


「――っ! ……よしっ!」


核を真っ二つにして、自由自在に動く液体からただの液体になるスライムを見届けて、葛葉は倒したことをちゃんと確認した。

だが、今倒したのは『レッドスライム』。名の通り赤い色のスライムである。このスライムの大好物は、カビや苔、皮脂や垢だ。捕まると、全身という全身をスライムに撫で回されるのだ。絵図的にも、性別的にも、精神的にもヤバい葛葉達の天敵だ。


「後はあのスライムだけなんだけど……」

「『グリーンスライム』は駄目ですよ……」


葛葉達のことをしつこく追い回すスライム。このスライムも名の通り緑色だ。そしてこのスライムは、とにかく雌が好きなのだ。人や魔獣、動物や魔族であっても、性別が女なら何でもかんでも食ったり、子孫繁栄の袋にしてしまう。


「はぁ、銃弾効かないしなぁ」

「本当にどうなってるんですか、この状況!」


この短い時間で二回もの悲痛な叫び声を上げる律に、葛葉と五十鈴が顔を見合わせて深くため息を吐いてから、ことの顛末を話し出した。

このダンジョンに入る前に律の脳がパンクして気絶したまま探索を開始し、探索を始めて三十分は順調だった。だったのだが、鬼丸がニヤッと笑みを浮かべて走り出しダンジョンの奥深くに行ってしまったのだ。

急いで後を追ったが影すら見つけられず、逸れてから二十分後に『グリーンスライム』とエンカウントし、逃げ惑っているその道中で律は目を覚ましたのだ。


「わ、私はなんて言うタイミングで起きてるんですか……!」


律はあまりに自分の間の悪さに絶句し半泣きの状態でぼやいた。


「とにかく、あの『グリーンスライム』を撒いて鬼丸を探そう。もう十分探索は済んだし」

「ですね」

「わ、私もイヤな予感しかしないのでそうしたいです」


どう考えても普通のダンジョンでは無さそうだ。ダンジョンについて詳しく知らない葛葉ですらそう思う程に。五十鈴も律も早く帰りたそうであった。


「それじゃ――」

「「……………………ぇ?」」


三人の意見が揃い、移動しようと葛葉が脚を一歩前に出したと同時にガコンという何かがハマる音がして、直ぐに葛葉の姿が掻き消えた。その光景に二人は状況の整理が追いつかず、パチクリと瞬きを数回繰り返して、


「く、葛葉さんっ⁉︎」

「葛葉様!」


葛葉の姿が掻き消えた場所に駆け寄った。

床には人一人分が余裕で通り抜けることの出来そうな穴が空いており、真っ暗な下の階へと繋がっていた。


「葛葉様ー‼︎」「葛葉さーん‼︎」


と二人が同時に穴の中を覗きながら叫ぶが、葛葉からの返事はなく二人の声がやまびこのように木霊するだけだった。


「……っ! い、急ぎましょう。五十鈴さん‼︎」

「は、はい」


返事が来るまでしばらく待った後、『グリーンスライム』が迫って来ているのを感じた律が、五十鈴の手を取って先を急ぐ。

葛葉ならばきっと大丈夫だと信じて。

読んで頂き、ありがとうございます‼︎

いや〜ついに出て来ましたね……超メジャーなモンスタースライムさんが。いや〜お世話になってます(色んな意味で)

皆さんはスライム好きですか?

面白いと思って頂けたら、ブックマークと評価をお願いします‼︎

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