三話 ダンジョン探索へ!
まだ入らないんですがね
「ここかな?」
「ここであろうな〜」
場所はちょっとした山の麓に造られた、ボロボロの石壁の建造物。
中からは禍々しく異様な気配が出て来ている。
「これがダンジョン」
ダンジョン。異世界でのド定番イベントな物だ。少しワクワクしてしまう。
この世界に来て、あの街に住み始めて、異世界感なんてあんまり感じなかった日々。そんな中、立て続けに異世界ド定番のイベントが大量発生している。実にワクワクしてしまう。
「……あ、そうだった。五十鈴、律」
そんなワクワクは一旦置いといて、葛葉はせっせとダンジョン探索の準備をしている二人に声を掛けた。二人はキョトンと疑問符を浮かべながらも、葛葉の下に寄ってくる。
「はいこれ」
「「……」」
葛葉が二人に手渡した物、それは拳銃だった。両方とも自動式拳銃だ。五十鈴に渡したのはベレッタM922Fで、律に渡したのはM1911A1だ。まだまだ最新のは創れないが、十分銃自体は創れるようになってきたのだ。
「あ、あの葛葉さん……これってなんですか?」
と渡すだけ渡して、説明をすっかり忘れている葛葉に律が興味津々に拳銃を眺めながら、説明を求めた。
「あぁ、ごめんごめん。それは銃って言う飛び道具だよ」
「飛び道具ですか?」
「そう。ほら、二人の武器って狭い所じゃ使えないでしょ?」
律は刀で五十鈴は巨大な盾。明らかにダンジョンという狭い場所で振り回せる代物では無い。
それなら閉所でも取り回しが効き直ぐに敵を倒せる武器が必要だ。それで白羽の矢が立ったのが、銃だった。それにこの際だから、二人に銃を扱えるようになって欲しいという葛葉の願望もあるのだが。
「どうやって使うんですか?」
「う〜んとね……」
律が再度説明を求めた。と同時に葛葉の目の色が変わった、語る目へと。
欠伸をして呑気に空を眺めていた鬼丸。葛葉の目の色に気付き、そして同時に青ざめて葛葉の口を塞ごうとした鬼丸よりも速く、葛葉が二人を捕まえて説明をし出したのだった。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
異世界の住人である二人に、拳銃なんか渡して良いんでしょうかね?
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