二十話 勇者
まさかラグスが
――一ヶ月前。
ラグスは予定通りに王都へと訪れ、田舎とは全く違う光景や人々に驚きながら、初日を過ごした。
そしてそんな中、師匠である緋月の友人と言い張る人物が尋ねて来て、そのまま成り行きでラグスはちょうどよく開催されていた、『勇者候補者決定戦』に参加することになってしまったのだ。
決定戦には、王都や近隣諸国の冒険者や正義感が高く自分の腕に自身がある騎士たちがやってくるのだ。そして、その者達と一対一の戦いをして行き、勇者に相応しい者を決めるのだ。その戦いにおいて、ラグスは圧勝していった。緋月の教えのおかげか、それともラグス本人の力か……否、どれも違う。
ラグスには目標がある。憧れのあの人の横に立てるような人間になると。そして見事決定戦で勝ち進み、強者達を倒したラグスは【勇者】に選ばれることになった。それは勿論のこと、一大事だ。
王都は歓喜に溢れ、祭りの準備がすぐさま始まった。前代の【勇者】が戦えなくなったのが三年前。その三年間、王国の民は魔獣に襲われる恐怖の中、日々を生きていた。
だが新しい【勇者】が誕生したのだ。勿論嬉しいのだ。そしてラグスは祭りを楽しみ、王都を楽しんでゆっくりしていた時だった、国王直近の近衛兵がラグスの元に訪れたのだ。
理由はたった一つ、正式に【勇者】となるために、国王から任命を受けること。近衛兵達と共に王城へと赴き、色々なことを経て見事にラグスは【勇者】となったのだ。
勇者になったあとは、波瀾万丈な日々を過ごし、今に至ると言うわけだ。
(姐さん。俺、強くなって見せます。だからどうか、待っていてい下さい)
空を見上げ、心の奥底から尊敬している葛葉の顔を思い浮かべ、ラグスはそう願うのだった。
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今回は説明のみでしたが、明日からは二章になります!こちらも楽しみにしてお待ち頂けると嬉しいです‼︎
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