二話 異世界での自主学習!
物語は動きますけど、やっぱり世界の設定とかを紹介しないとですよね。
燦々と陽光が降り注ぎ暖かい朝。この世界はどうやらまだ初春らしい。暑くも無く寒くも無い、ちょうど良い日々が続いている。だがそんな中、大通りをフラフラとした足取りで手をブラブラと揺らしながら闊歩する人物――葛葉だ。
ギルドを勢いよく飛び出したは良いものの、目的の本屋の位置がわからなくて走って走って走りまくった結果がこれだった。名前だけは分かってても場所を知らなきゃ意味なかった。
「見切り発車が過ぎた!」
葛葉は小さく唸りながら感情の篭った声を吐き出した。そして手元にある一枚の紙を見て再び確認する。
「この名前通りの本屋は……」
大通りを左右に目線を向けて本屋を探しながら歩く。何度も紙と、大通りにある店の看板に目をやるが、目的の本屋は見つからない。
「本当にあんのか怪しくなってきたな……」
あまりにも見つからない本屋に、はぁ〜と深くため息を吐く。ある場所くらいは聞いとけば良かった、後悔するのだった。とそんな時、小さな路地の入り口から三人の子供が走りながら出てきた。男の子が二人と女の子が一人の三人だ。
「……何で子供があんな所から?」
そのまま走り去っていってしまった、三人の子供たちが出てきた路地の入り口に近づき覗き込むと、ポツンと佇む一軒の古びた店。
看板には紙と同じ文字が書かれている。
「……見つかるかよ!」
小声でこんな所に建てた本屋の人と、店の看板だけしか書かなかった一と、見切り発車が過ぎた自分に怒りのこもった声を呟いた。
「とりあえずは見つかったから良いか……」
と苦笑し路地に入っていった。
「いらっしゃいませー」
古びた外見とは裏腹に、内装は綺麗だった。レジカウンターにはアンティークが置かれており、窓際にも本棚にも数多くのアンティークが飾られていた。
それに受付に居る子。見た目完全JKだ。
葛葉の目線の先、受付の椅子に座り足を組み、窓の外をボーッと見つめる少女。……いや、今の葛葉からしたら年上か。
「かなり広いな」
小声で内装の見た感じを口にする。大きさはかなりある。学校とかの図書室が二、三個は丸々入るくらいだ。
棚も一つ一つが五メートル以上はあり、一番上の段には踏み台を使わなくちゃまず届きが無いだろう。無論、葛葉には三段目からも届かない。
「何か良さそうなのはーっと」
本の背表紙に書かれている題名を一つ一つ見て行く。
御伽噺に神話伝説、冒険物に教本等。今の葛葉に必要なのは中々見つから無い。だが興味がそそられる物は幾つか……。
「一応読むか」
棚をある程度見ました後、葛葉は適当な本を幾つか選び床に座り込んで読み始めた。
読んでいただき、ありがとうございます!
ざっくりですが世界の設定をご理解いただけると嬉しいです!