十七話 お酒は罪な味
早く飲める歳になりたい(T ^ T)
ボフッと鬼丸の身体を優しくフカフカのベッドの上に寝かせ、葛葉は掛け布団を掛けてやった。鬼丸は起きる事なく、すぅすぅと寝息を立てて夢の世界を楽しむ。
「ふぅ……。懐かしい……かな」
もうすっかりこの世界に慣れて来た、前とは違う環境に心を緩めることが出来てきて、葛葉はふと昔のことを思い出した。葛葉が五歳の時の思い出だ。
「会いたいなぁ」
もう会えないのは重々理解出来ている。ただ勇気をもらいたいのだ。この先、葛葉が歩む道は辛く悲しい道かも知れない、楽しく幸せな道かも知れない。その二つの可能性があろうと、やっぱり怖いのだ。勇気が欲しい。闇を打ち払う心が欲しい。挫けない強靭な心が欲しい。
「……何が出来るんだろ」
葛葉はそう言い、こっそりと持って来て、机の上に置いたワインの瓶を手に取りグラスの中に注いでいく。
コポポポと良い音が暗い部屋に響く。酒瓶を置いて、グラスを手に取り一口、口に流す。
ワインの程よい酸っぱさが口の中に広がり、アルコールが喉を優しく焼いて通っていく。凄く美味しいの一言に尽きる、代物だった。
「……」
「――どうしたんだい? 葛っちゃん?」
「――っ⁉︎」
感傷に浸っていると急に声が掛けられた。それもあり得ない方向から。
「ひ、緋月さん!?」
大窓が開けられ、少し涼しい夜風が吹き月光が影を床に映し出す。プラプラと脚をバタつかせて、微笑みを浮かべている緋月が窓の縁に座っていたのだ。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
皆さんはお酒は飲める歳ですか⁉︎ この世界に自分は今すぐにでも行きたいですね!
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