十六話 酔い潰れた赤ちゃん⁉︎
ふぇっへっへっへ……素晴らしい、素晴らしいよ!
私は今! 猛烈に感動しているよ! 私の見たかった世界が、今‼︎ 妄想の中にある‼︎ ←変態の狂言なので。
「鬼丸〜」
「おぉ? なんじゃ〜なんじゃ〜……わしと初夜でも迎えたくなったかのぉ〜⁉︎」
すっかり出来上がり、頬を火照らせてクラクラと身体を左右や前後に揺らす鬼丸。言っていることも滅茶苦茶で……? いや、いつも通りか。
「しないよー。けど、そこは危ないから、下に降りてきてー」
「なんと! 葛葉から求めて来るとはのぉ〜‼︎」
葛葉が鬼丸を降ろそうと腕を伸ばすと、鬼丸はパチパチと葛葉をマジマジと見てから、驚いたような反応で馬鹿なことを言い出す。
葛葉から求める事は到底無いだろう。天地がひっくり返っても。
「ほら、良いから早く降りようって」
「むふふぅ〜やらかいのじゃ〜」
空っぽの酒瓶をほっぽり出して、四つん這いになり酔い潰れて気を失った冒険者達を踏みつけにして、葛葉の腕へよちよちとやってくる。五百年生きている『鬼族の巫女』と言う威厳は何処へやら、今葛葉の目の前にいるのは赤ちゃんだ。
「ん〜……」
「ちょ、こら! ここで寝ないでよ〜!」
葛葉は鬼丸の脇に腕を通して持ち、ゆっくりと移動してテーブル席の椅子に座ると、鬼丸が蹲り出して葛葉に抱かれながら寝始めてしまったのだ。しかも葛葉の胸を枕代わりにしている、顔面を前にして。それが、葛葉にとって一番腹立つ事だった。
「も〜……面倒臭ー」
完全に寝に入ってしまった鬼丸を起こすのは少し罪悪感が……。なぜならこんなにも幸せそうに眠るのが鬼丸だから。
質が悪いのか、悪く無いのか……よくわからない。
「大変だね」
「あ、葉加瀬さん」
「葛葉ちゃんは鬼丸を、君達の部屋に連れていくと良い。後のことは私たちに任せたまえ」
「すいません……何から何まで」
「構わないさ。君にはこの街を救ってもらった、返せない借りがあるのだから」
成り行きの出来事なのだが、と葛葉は少し複雑な心境になりながらも、ここはお言葉に甘えて任せる事にした。
「それじゃあ、おやすみなさい」
「あぁ、明日はクエストだろう? 睡眠は出来るだけしておくと良い」
「はい」
葛葉は鬼丸を抱っこから、お姫様抱っこに持ち替えて葉加瀬に一礼してから、自分の部屋へ向かうのだった――。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
こうやって百合百合しているのが最高ですね。可愛い女の子が、可愛い女の子とイチャイチャしているのは至高ですね!
面白いと思って頂けたら、ブックマークと評価をお願いします‼︎