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一話 これからすべきこと

これからジャンジャン投稿していきたいと思いますので! これからも読んでくれると嬉しいです‼︎

異世界で五つ目の夜が明け太陽が昇る。カーテンの隙間からは太陽の光が入って来ている。

ペタペタとカーテンへと近づいてき、カーテンを開ける。同時に目を焼くような光が部屋を照らし、身体を暖かく焼いてくる。


「……あの夢はきっと現実になるんだ」


葛葉は快晴の空を目を細くして眺めながら、自分が見た夢のことを思い出す。

自分を殺せと訴えてくる少女。葛葉は殺せず、どうするか迷い何も決断できず、少女に自殺という選択をさせてしまった。何も出来ないないのだ自分は。あの時も、あの時も、誰かに任せて自分は楽をする。

……それで良いのか、いや言い訳がない。例え意味がなくても行動次第で自分の、誰かの未来が、運命が変わるのなら。


「……次こそは決めよう。もう何も出来ない自分は居ない」


今、ここに立って居るのは【愚者】では無く、誰もが憧れる【英雄】だ。




それから暫くして。朝風呂に入り、朝ご飯も食べ、準備は万全の葛葉は、


「あー今日はラグス来れないって」

「え?」


鼻っ柱を折られた。

ギルドのテーブル席で、葛葉は緋月にラグスが今日は実家に帰って母親の風邪の看病をしに行ってると聞いた。葛葉と緋月以外は皆冒険者かギルド職員。それぞれ各々の仕事を全うしている。

朝あんなにも意気込み、スタート地点に立ったと思えば崖っぷちだったとは……。


「……あの、仕事は?」

「んー終わったよー」


目の前でパフェをパクパクと食ってる緋月。確か大量の仕事に泣いていた筈だった。のに、今は元気にパフェなんかを食っていて、肌もモチモチプリンプリンと艶もある。

……絶対熟睡したな。


「んふぅー!」

「朝からすごいですね」

「そうかい?」


葛葉には到底出来ない事だ。

とまぁそんなこんなでクエストには行けなくなってしまった。まぁ一人で行けばいいのだが、午後には死体として発見されてるのが分かる。

腰に携えてあった刀を『異空間倉庫』の中に入れ、肘をテーブルに付きはぁ〜っと長いため息を吐いた。

意気込んでやる気MAXファイアーだったのに、ファイアーは掻き消され、やる気も真っ二つに折られた。


「……どうしよっかな」


テキパキ働くギルド職員、パーティーメンバーと装備やアイテムの不備が無いかを確認する冒険者達を眺めながら葛葉は、今日何をするかとあれこれ考える。


「あれー? 緋月と可愛え娘ちゃんやないのー」

「ん? おー! にーちゃん‼︎」

「朝から元気があんなー」


声をかけてきたのは白髪の美少女、一さんだ。

雪のように白く膝まで届く長い髪、それと同色の眉。宝石のように綺麗な水色の双眸、艶かしい唇。シュッとしていてもモチモチしていそうな頬。美しいのは顔だけでは無く。

華奢な身体に大振りな双丘、細い四肢。モデルといわれても信じる人は必ず居るだろうスペックの美少女は、ニコニコと微笑みを絶やさない。


「隣、ええ?」

「あ、はい」


葛葉は横にズレると一が空いた所に座る。あんがとな〜と感謝してくる一。この人とはそんな喋った事ないから隣なのは気不味い……。

身体を小さくする葛葉に気が付いた一は、


「緊張せんでええよぉ?」

「い、いえ」


と微笑みなが言ってくれるが、葛葉の緊張は全く解けない。何故なら葛葉は美少女とはあまり喋れないのだ。(外ではだが)


「にーちゃんなんか食べるー?」


心境が複雑な葛葉を他所に緋月はメニュー表を取り、一に見せて欲しいものがないかと尋ねてる。


「んーほな朝ランチ頼んでええ?」

「良いよ良いよー!」


一がメニュー表を指し言うと、緋月が店員を捕まえて注文する。

話は戻るが葛葉が何故、外で美少女とは離せないのか……それは、葛葉自身が定めた掟に反してしまうからだ。その掟とは、何でもかんでもパーフェクトな妹に迷惑は掛けないようにと細心の注意を払うことだ。

パーフェクトな妹とは真反対で、ダメダメな葛葉は完璧な妹が無能な兄と仲良くしているなんて誰かに知られたら迷惑するだろうと、そんな身勝手でエゴなことしか考えれないのだ。


「……今日はクエスト行けんやって?」

「えっ……何でそれを?」

「少し聞こえたんよ。で、どうすんのや? 一人でクエストはあかんやろうし」


緋月が注文している間の暇な時間を潰すように葛葉に話しかけてきた一。そんな一に葛葉はビクビクしながらも話を聞く。


「嬢ちゃんはこん世界の事をちゃんと知れたんか?」

「――ッ!」


そうだ、そういえばザックリとしかこの世界の事情を聞かされていない。この世界がどんな状態で、どんな事が起きているのか、それを葛葉は知らない。


「気ぃ付いたみたいやな。んなら、今日はクエストや無く、こん世界の事を調べてみるとええんやない?」

「……ありがとうございます!」


やる事が無かったがやる事が大量に出来てしまった。いや、出来てしまったんじゃない。出来たんだ。やるべき事が、やらなくちゃ行けない事が。

この世界の情勢を知り、葛葉の未来が決まる。この世界でどうやって生きていくか、この世界で何を成し遂げれば良いのかが。


「ん? どったの?」


さっきとは違って生き生きとしている葛葉を見て緋月は一に何があったのかを聞いた。

一はやる気MAXファイアーの葛葉を優しく見ながら、


「自分のやらんといけん事が出来たんよ」

「……? どゆこと?」

「緋月にはわからへんやろな」

「……??」


終始はてな顔の緋月。優しく葛葉を見守る姿勢の一。やる事を見つけて萎えていたやる気が再びMAXファイアーに戻った葛葉。

ここのテーブルだけ騒がしい。


「一さん!」

「んー? どうしたん? てか、名前教えて無いんやけどなぁ」

「本屋とかって何処にあるんですか!?」

「う、うん。なんなら、この紙に書いとくで?」


『異空間倉庫』から羽ペンを取り出し紙に文字を書いていく。葛葉はまだかまだかと、食事を待つ子供のように待つ。


「はい、こん所の本屋行けば何か分かるやろ」

「ありがとうございます!」


一は席から立ち上がり、葛葉が通れるように道を開けた。葛葉はすぐさまギルドから出て行き、紙に書かれてるであろう本屋に行ってしまった。


「若いってええな」

「……にーちゃんまだ十九でしょ」


年寄りくさい事を呟く一に緋月がツッコむ。が、注文していた料理がちょうど届き、緋月はそれに無我夢中になる。一は一度振り返り、緋月をみて苦笑し、ギルドの入り口に再び視線を向けて暫く見つめ、


(やる気出させ過ぎたやろか?)


と思うのだった。

読んでいただき、ありがとうございます‼︎

もっともっと面白くなっていきますよ!

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