十話 やばい人
新年あけましておめでとうございます‼︎
「ねぇ〜ぇ」
「どうしたんだい?」
毎度の如く関係者以外立ち入り禁止の扉を少し開けて、食堂で行われている宴を羨ましそうに眺める緋月が、山積みの書類を持っている葉加瀬に声を掛けた。
「生憎、私は今忙しいんだけど」
そう言い葉加瀬は書類を持ち直す。
「ボクも混ざっていいかな〜?」
「……駄目だ。早く手伝いたまえ」
葉加瀬の後ろ――かなり遠い廊下の奥の方でも、バタバタと職員達が大焦りで書類やら、何かを運んでいた。朝くらいからこの調子だ。
「……うへぇ〜。ボクがやった所でじゃない?」
「緋月の承認がないと行けない書類もあるんだ。お酒を飲んでる暇なんてないのさ」
「……うぅ〜! そんなぁ〜‼︎ 酔ったーって言って、葛葉ちゃんの身体を貪りたかったぁ‼︎」
「なおさら駄目さ」
自分の性欲に忠実な緋月に、葉加瀬は苦笑しか浮かべれない。器用に片手で書類を持ち、葉加瀬は緋月の襟首を掴み引っ張り、連れて行くのだった。
「嫌だぁああああああああ‼︎ 葛っちゃぁぁぁぁぁぁん‼︎」
暴れ、叫ぶ緋月に葉加瀬は深々とため息を吐くのだった。
「……緋月さんの声が聞こえた」
質問責めに遭っていた葛葉が、遠くから聞こえてきた緋月の声に反応する。他の人達も聞こえたようだが、特段反応するわけでもなく、完全無視だった。
「慣れてますねー」
「んー? そうかな?」
「まぁ、ここのギルド長はね〜」
「おかしい人が多いけどね……ここの人はねー」
「おかしさがカンストしてるから」
口々に緋月の異常性に、言葉を濁しながら女性冒険者達が言っていく。
「……納得されてるんですか?」
「もう慣れちゃったからねー」
「私はもう三年になるのかー」
「うっそ、もうそんなに経ってんのー?」
どうやら完全に慣れてしまっているようだ。三年もあのギルド長の下でクエストを受けていた者達だ、面構えが違う。たはは〜と、猛者を相手に葛葉の表情が苦笑いへと変わっていく。
「……」
ふと女性冒険者達が居る場所とは、反対の方を向くと鬼丸と男性冒険者達が盛り上がっていた。それを見て葛葉は顔を曇らせ、少々複雑な気持ちになってしまう。
「どうしたの?」
「……いえ。……鬼丸はあんな事したのに、あんな普通に接して貰ってて……。この街の人は凄いなって」
複雑な気持ちに顔を曇らせていた葛葉に声をかけてきたのは、先輩冒険者であるミリザさんと言う人だった。
「男達は、酒飲みに悪い奴はいねぇって盛り上がってるけど、住人や私達からしたら少しね……」
最後まで口に出さずに、ミリザさんは口を噤んでしまった。それも当たり前なのだろう。
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皆さんは今年の抱負は決まりましたか⁉︎ 私はもういう一つしかありません! そう、本当の毎日投稿です!!
去年はハプニングや、普通に忘れたりしてしまって出来なかった毎日投稿ですが、今年こそは文字通りの毎日投稿をしたいと思います‼︎
今年も宜しくお願いします‼︎
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