八話 保護者兼伴侶です。
遅れました!
「――こ、困るよ嬢ちゃん!」
「何故じゃ⁉︎」
「買うのはいいけど、飲まれるのはちょっと!」
と店内を見回していた葛葉の耳に聞こえてくるのは、男性の声と鬼丸の声だった。絶対面倒臭い事になってると、そう思いながらも仕方なく向かうのだった。
「な、何なんだこの娘⁉︎ ……ん? あ、君は……?」
「…………はい。一応保護者です」
返事をしたく無いが、この男性が困っているためやむ無く返事をするのだった。視線を男性から、カウンター前へと戻すと、酒瓶を手に取り今にも開けて飲み干しそうな鬼丸が居た。
「……鬼丸〜、問題起こさないでよー」
「起こしてはおらんのじゃ! わしの年齢なら飲んでも構わんじゃろう⁉︎」
「確かにそうだけどさ〜」
またしても問題を起こそうとする鬼丸に、葛葉が一応注意するが五百年も生きてる鬼丸に、酒を飲んではダメなんて言える訳もなく。見た目が完全に小学生並みだからか、この男性も必死に止めようとしているのだ。
「せめてギルドで飲もうよ」
「……ふむ、そうじゃな! 葛葉よ! 今宵は朝まで飲み明かすのじゃ!」
拳で手のひらを叩き、鬼丸は名案だと言いそうな顔で葛葉の言葉を肯定する。そして、鬼丸は立ち上がり、目の前の棚にあった酒瓶を全て取ると、虚空庫を出して中から金の延べ棒が出て来る。
「これで良いかの?」
「あ――――――――――――――――――――」
それを見た男性は顎が外れたのか、それとも驚きすぎて空いた口が塞がらないのか、どっちもほぼ同じ意味だが。一言発して絶句してしまった。葛葉も多少驚きはする。するが、もう鬼丸の異常さにはそうそう驚きはしない――。
(――えっ、待って……。あれ純金じゃ無い!?)
マジマジと見ると百億パーセント金の延べ棒だと言う事に気付く。いや、延棒って時点で気付くべきだが。
「ほれ! 早く帰って飲むのじゃぞ!」
そう言って鬼丸は、金の延べ棒をカウンターの上に置きそそくさと店から出て行ってしまった。葛葉も遅れて鬼丸の後を追う、その前に男性に一礼してから店を後にした。
そのすぐ後に、またのお越しを‼︎ と後ろから興奮気味な声で言われるのだった――。
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純金なんて見たことありません‼︎
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