五話 ナンセンスな服選び!
懐かしいですね〜
「……却下」
「ふ〜む、かっこいいと思うのじゃがなぁ〜」
あれから暫くして、葛葉は鬼丸と共に服屋に来ていた。何故かと言うと、鬼丸が持っている服は先の戦いで破れた和服と、今着ているパーカーのみだったのだ。そして服屋に来たは良いものの、鬼丸のセンスが酷過ぎたのだ。
「厨二病みたいだから、やめて」
今鬼丸が着ているのは……Tシャツだ。超ブカブカのTシャツなのだが、服の至る所にイカした字でガバガバ翻訳の英語がデカデカと書かれているのだ。もう遅いし意味無いが、何で異世界にんなもんがあんだよって言うツッコミは置いといて、
「年相応のとか無いの?」
「ふむ……五百歳に合う服か〜」
(……そうだった、五百年生きてたんだった)
五百歳に合う服などあるはずが無く……。
試着室から鬼丸が飛び出し、店内にある服を物色し出すのを、葛葉は鬼丸が脱ぎ散らかした服を綺麗に畳みながら見守る。朝の葛葉も、五十鈴から見ればこのようなのだろうか。
「今度から、朝はちゃんとしようかな?」
ちょっと不安になり、朝が弱いのを克服しようと多分心に決めた葛葉であった。
「おぉ……これはどうじゃ!?」
と服を綺麗に畳み試着室のカーテンを閉めたと同時に、後ろから声が掛けられる。振り向いて見れば、一着の服を、顔と同じ高さで持った鬼丸が満面の笑みで立っていた。
「良いの見つけたの?」
「そうなのじゃ! どうじゃ? どうじゃ?」
「……試着しよっか」
服を自分の体に重ねて、葛葉の反応を鬼丸は伺うが、体に重ねるだけで分かる事はブカブカと言うことだけだ。閉めたカーテンをまた開けて、葛葉は試着室の中に鬼丸を押し入れる。
「……絶対に大きいでしょ」
着てみないと分からないが、きっとまぁブカブカだろうと思う、が着る前にそんな野暮なことを言うのはナンセンスだろう。
試着室の中からはバサバサと着替える音が聞こえてくる。また脱ぎ散らかしてんのかな〜と思いつつ、鬼丸の着替えが終わるのを待つのだった。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
葛葉も緋月と一緒に服を選びましたねー。もう、立場が逆転するなんてー。
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