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三十三話 あの人の……。

あの人……誰でしょうかね!

ナイフの刃が金棒と擦れ合い、火花を散らしながら鬼丸の瞳に近付いて行く。だが、直ぐに鬼丸の姿が視界から消え、足を薙ぎ払われる。衝撃に瞑っていた目を開けば、金棒を両手で持ち今にも振り下ろそうとして居る鬼丸がいた。


「避けるな受け止めろ」

「――ぐっ!」


ナイフの柄を握る手に力を込めて、振り下ろされる金棒を受け止める。と同時に手から全身に振動が伝播する。肘が激痛を伴い、力を入れようも上手く入らない。強い、果てしなく強い。自分では絶対に勝てない。


「……」


もう無理だ。こんな強い相手に勝つなんて無理だ。もう散々頑張ったはずだ、最善は尽くしたはずだ。

……だから、もう諦めてしまおう。




『生きて……諦めないで……あの子をお願い…………私の【英雄】』




「――っ!」


瞬間、力が抜けそうだった手に力が宿る。脚にも、また立って立ち向かおうとする力が宿り、金棒を押し返して行く。


(……力が)


鬼丸も葛葉の力に驚愕する。

何処からこんなにも力が湧いて来るのか、どうしてこんなにも気分が高揚するのか。葛葉は自分でも分からない。でも一つ確かなのは、自分があの人の【英雄】だからだ。


「諦められないっ‼︎」


ここで諦めれば、何もかもが無くなる。ここで挫けては、この先の運命に抗うことにも挫けてしまう。逃げてしまったあの自分は、結局最後まで逃げ続けてしまった。異世界でも逃げ続ける訳には行かないのだ。


「ここで勝って……! 英雄になるんだっ‼︎」


そう叫び、完全に金棒を弾き、鬼丸に蹈鞴を踏ませる。鬼丸は目を見張り、驚愕と喜びの混じった表情で葛葉を見つめる。そして鬼丸は直ぐに体勢を整え金棒を短剣のように振り回す。葛葉はそれらを『想像』で避け続ける。


(もう魔法もスキルも十分に使えない……)


先の付与魔法は、魔力が少ない葛葉には一回きりの魔法なのだ。そしてスキルの『創造』は後二、三回のみ。チャンスは二、三回だけ。はっきり言って最悪の状態だ。


(こんな怪物みたいな相手を、二、三回の創造でどうやって倒すの!?)


苛烈過ぎる鬼丸の猛攻を避けながら、葛葉は誰にも向けていない文句を叫ぶ。あと二、三回のみ……決着は着くだろう。鬼丸の勝利という決着が。


(避けるだけじゃ、勝てない!)


覚悟を決め、タイミングを見極める。タイミングを見誤ってしまえば、葛葉の身体は肉塊となるだろう。避けつつ、タイミングを見極めること数十秒。そして時は来た。鬼丸の金棒の振りが若干弱くなった一瞬を、葛葉は避けるではなくナイフで受け止めた。


「――っ!」


まさかのナイフ一本で受け止められた攻撃。鬼丸は直ぐに追撃を繰り出そうとするが、それよりも早く葛葉が動く。

受け止めた方とは反対のナイフで、鬼丸の腹部目掛け刺突を決めようとするが、決めれなかった。突き出したナイフを、鬼丸は金棒から手を離し上段蹴りをナイフに当て、葛葉の手からナイフを弾いたのだ。


(そんなっ⁉︎)


驚き目を見張るが、直ぐに気を取り直し、鬼丸へ注意を向ける。見れば、鬼丸は次なる格闘技を繰り出そうとしていた。小さな身体の筈なのに、何故こんなにも強大に見えるのか。

迫り来る鬼丸の回し蹴り。葛葉は間一髪で回し蹴りを避け、地面にぶつかる前に一回転してから立ち上がる。葛葉が避けた先は、鬼丸の背後だった。


(現代兵器で倒すなら……あの銃だ……っ‼︎)


立ち上がり手を突き出し構える。

光が収束し、一瞬で形を成す。無から造られるは、人を最も容易く殺す武器。その中でも、人には到底撃っては行けない銃器。


「……デザートイーグル」

読んで頂き、ありがとうございます‼︎

ここでLv.2の恩恵であるちょい現代兵器の登場ですね!

デザートイーグル……現実世界では強いですが、果たして異世界では……?

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