表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/743

八話 動き出す影

連続十時前投稿……人間やれば出来るんですね。

この話も面白いと思ってくれたら嬉しいです!

葛葉は首にタオルをかけ、風呂上がりの余韻に浸りながらギルドの廊下を歩いていく。元の世界ではあんな大浴場なんて行ったことは無い。銭湯とかは流石に行ったことあるが、ほぼ貸し切りであの大浴場は中々……。


「ん、やぁ葛葉ちゃん」

「……葉加瀬さん?」


声を掛けられ、ふと目を開けるとそこには夜風に靡く髪、月明かりに照らされる白い肌、美女という言葉がこんなにも似合う容姿。葛葉はつい見惚れてしまった。ここはギルドの二階。中央廊下。真ん中にはバルコニーがあり、そこに葉加瀬が夜風に当たっていた。


「湯加減はどうだったかな?」

「あ、はい。凄く気持ちよかったです」

「それは良かった。今日はクエストと武具店に行ったりして疲れだろう? 早く寝ると良いよ」

「はい、そうします」


葛葉はそう言い、その場を後にした。




 ――???――


『思ったより進みが早いな。このままだと二ヶ月と半分っていたっところか】


オリアの街から数十キロ離れた廃城の高台にて黒いローブを纏った人物が声を落とす。

今回は【白狐】による邪魔も無い。

視線の先にはギルドがある。無音の廃城、そこに一人の少女が舞い降りる。


「ただいま戻りました」

『上手く行ったか?」

「はい。簡単な封印だったので何も問題なく解除出来ました。ですがあの場には……」

『大丈夫だろう。遠く無い未来に【英雄王】の仲間として世界を救うんだ、あの程度の厄災に敗れるはずがない』


夜風が強くなり、黒いローブの人物のフードが取れる。現れたのは、月明かりを反射するような青銀の髪と黒い狐の仮面だった。


『……今日は風が強いな』

「そうですね」


夜風は暖かく、優しい。黒い狐の仮面の人物は夜空を見上げる。空には満月があり、雲一つ無い。仮面をずらし、口元だけ露わにし少女は、


「これで終わりにしたいなぁ」

「…………我々は貴方様に一生仕えます。貴方様の罪も何もかも我々も背負います。ですから、そんな顔をしないで下さい……」

「――ッ。はは、今まで流さなかったのに……。今日、今日だけは例外かな……」


夜風は暖かく包み込む。少女の心を優しく、暖かく、まろやかに……茨の道を行く少女は今日初めて泣いた。


「……さて、あっちも始めるか。もう準備は出来てるな?」

「はい。一切の不備はありません」


それを聞き少女は狐の仮面を被り直し、後ろに控える何百何千という黒い影に向かい叫ぶ。


『これより作戦を開始する‼︎ 我々はここで終わらせるのだ‼︎ 悲しき連鎖を断ち切り、罪と使命のために我々はここで終わらせるのだ‼︎ 正義を蘇らせ、悪として討たれるために‼︎』


『うぉおおおおおおおお‼︎』


何百何千の歓声が空を震わせ、世界の果てまで届く。


『さぁ、ここからが本番だ』


廃城と廃城付近が淡い紫色に光る。光は段々と輝きを強くし、眩い光が夜空を照らした。


『……頼む』


廃城に一人で残った少女は震えた声で、


「鬼代葛葉……いや、次代の【英雄】」


機械的な声ではなく、悲痛に堪える声で、


「必ず殺してくれ!」


そう懇願するのだった。

読んでいただき、ありがとうございます‼︎

ここから物語が大きく動き出しますので! これからも読んで頂けると嬉しいです‼︎

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ