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二十五話 連携

遅れました!

葛葉の投げた閃光手榴弾は見事に鬼丸の真上で炸裂し、たとえLv.12であっても数秒は行動不能に陥る。その間に葛葉は太腿のホルスターから二振りのナイフを抜き、鬼丸へ向かって猛スピードで――前傾姿勢で――駆け出した。眩い光に目眩んでいた鬼丸は、葛葉の接近を許し攻撃の隙を与えてしまった。だが腐ってもLv.12だ、音やら何やらで避ける事はできる。もはや勘ですらある。


「――っ! 今っ‼︎」


初撃を交わされた葛葉が間を開けずにそう叫んだ。と同時に家屋の瓦礫の山の中から、全快した律と五十鈴が刀を、盾を構えながら飛び出したのだった。鬼丸はずっと同じ場所で戦ってしまっていた。だから気付かなかったのだ。


「「はぁあああああ‼︎」」


二人の声が重なり合い、二人の攻撃が鬼丸に下される。が、鬼丸にとってはそんな事はどうでも良い。この二人が同時に掛かってきたとしても、手を振っただけで再起不能に出来るのだから。

だが、その判断が裏目に出たのだ。

パァン、パァンパァンパァンと一度鳴った後に、連続して響く銃声。勿論撃ったのは葛葉だった。


「そのままっ‼︎」


二人に指示し、葛葉は銃を投げ捨て、ナイフを装備し直す。そして二人の攻撃が鬼丸を足止めしている間に、鬼丸へナイフを振りかざす。その直後だった。


「――放て!」


葉加瀬のその声と同時に、横に一列に並んだ弓を構えた冒険者達が、指から矢を離した。鬼丸に一斉射が迫って来るが、鬼丸はそれを避けることが出来ない。律と五十鈴の足止めがそれを阻んでいるのだ。


(まさか、今までのはこれを悟らせないために……!)


緋月は呆然と目の前の光景に驚いていた。鬼丸の身体に矢が刺さり、血が流れる光景に。またしても葛葉と律達による連携攻撃かと思ったが、他の冒険者との連携攻撃に変わったのだ。


「くっ……! チクチクと痛いのじゃ……‼︎」


さしもの鬼丸であっても、流石に数十の矢が身体に刺されば痛いのだろう。なおチクチク程度らしいが。煩わしそうに顔を顰め、鬼丸はその体躯には似つかない力で律と五十鈴を振り払う。そしてナイフを振りかぶっていた葛葉へ向き直った。


「……――っ⁉︎」


身体に刺さった矢は一つ二つと、中から押し出さられる様に抜けていった。すぐに傷は全快してしまい、襲い掛かって来ている葛葉の攻撃を直ぐに避けまくり、ガラ空きの葛葉の腹部へ右ストレートが入ってしまったのだ。


「――がッ!」


身体が吹っ飛ぶ事はなく、ただ腹部が内臓が捻れるような感覚を味わいながら、白目を剥き気絶しそうになる。だがグッと足に力を込めて地面を踏み締め、腕に手に力を入れる。気絶はせず、既の所でKOを回避した。


「……ほぅ」


そんな葛葉に鬼丸は感嘆の息を漏らす。

葛葉は直ぐに『想像』で回復して、鬼丸同様に全快した。だが、痛覚までも無かったことにはなってないのだ、今も腹部に激痛が残っている。


「……しょ、勝負だ……‼︎」

「ふっ、掛かって来るがいいのじゃ――っ‼︎」


ナイフを構え、金棒が構えられ、疎だった陽光が二人を淡く照らし出した。曇天は徐々に薄れていき、隠れていた青空が顔を出す。暖かな光に包まれる感覚の中、二人は動き出した。

読んで頂き、ありがとうございました‼︎

葛葉は善戦してますね! でも一番の功労者は緋月です!

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