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七話 悪魔とも戦うんでしょうか?

自分で読んでても誤字脱字が多くて読みにくかった……。ちゃんと修正したいと思います。

「お待たせしました!」

「おっ! やっと来た! 大丈夫? しのっちに何かされなかった⁉︎」

「緋月さんじゃあるまいし……」


千佳の作業部屋を後にし、ラグスと緋月の待つ店内へ戻ると。緋月が心配そうな顔をして、自分の事を棚に上げて質問をしてくる。

ラグスは未だに武器を見て回ってる。


「この後はどうしましょうか?」

「んー……言うてまだ二時くらいだね」


そんな時間は経っていないみたいだ。ここで帰ろうって言い出したら緋月が駄々を絶対にこねるので、葛葉はあえて言わない。緋月は脚をバタつかせ、葛葉の言葉を待っている。


「お、大通りにあるお店を見てみたいんですが」

「おー良いね! 小腹も空いて来たし〜」


そう提案すると、緋月はノリノリで扉に向かう。その道中、未だに武器を見ていたラグスの襟首を掴み引き摺る。そのまま店から出て行ってしまった、それを葛葉は急いで追いかけた。カランカランと鳴るドアベルと、看板の音だけが店内に響く。


「まるで一緒。緋月……また、その道を行くの?」


奥から出て来た千佳はそう呟いた。




「はい、御買えあげありがとうございます」

「わーい」


店員から買った食べ物を受け取り、すぐにその場で食べる緋月。こう見ると本当に子供のよう、自然と頬が緩んでしまう。


「あの……師匠」


パクパクと早口で食べて行く。一口一口が大きいからかもう殆どない。


「あの……姐さん」


葛葉も買った食べ物をパクリと一口食べる。


「ちょっと二人とも‼︎」

『……何?」


先程から二人の名を読んでいたラグスが、とうとう声を荒げ二人の名を呼ぶ。

その呼応に二人は声を揃え、嫌な顔をし、ラグスの方へ顔を向ける。そこには荷物を大量に持った――特に食べ物の荷物を大量に持った――ラグスが居た。


「お、重いんですけど……」

「ごちゃごちゃ言うな男が」

「がんばれー」


緋月が冷たい声で言い放ち、葛葉が素知らぬ顔で応援してくれるが、


「全然励ましになってませんよ!?」

「全く……男ならもちっと頑張んなよ〜」

「そんな理不尽な!」


ラグスの持っていた荷物を、緋月は先日ラグスが長い刀を取り出した時と同じように、虚空へ現れた黒い渦に荷物を入れた。


「……それって?」

「ん? あ、葛っちゃんにこれ教えてなかったね」


葛葉は指を差して、黒い渦が何なのかと緋月に問う。緋月は、そっか、と思い出したふうな顔をする。


「これはね、異空間倉庫。まぁマジックボックスの方が分かりやすいか。ここには何だって入るんだよ!」

「何でも?」

「そうなんだよ、葛太くん。これはね、たとえドラゴンでも入れる事ができるんだよー」


口調が国民的人気キャラになり、葛葉の呼び方も変わっている緋月。……そいうネタはそうそう受けないと思うんだが。


「……葛っちゃんも覚えれると思うけど?」

「え?」

「冒険者カード出してみー?」


葛葉は言われた通りジャージのポケットから冒険者カードを取り出す。その間緋月が、不用心な……と口にして居たが葛葉は気付かない。


「スキル欄か未習得魔法欄を見てみー?」


見てみると、


「……あります。本当にありました」

「でしょ〜? んぁ、本当って何?」

「それでラグス、これはどうやって覚えんの?」

「あ、はい!」

「ちょっと‼︎ 葛っちゃん!?」


緋月のことを無視し、葛葉はラグスに異空間倉庫――マジックボックスの習得方法を聞く。


「書いてある魔法名を選択すれば直ぐに習得できますよ」

「なるほろ!」


葛葉はラグスの説明通り、異空間倉庫と書いてある名前の魔法をタップした。すると、カードが光り葛葉の体に伝播して行く。葛葉は今、自分の中では何か凄いことが起きていると、感じることしか出来ない。

錯覚と言われればそうかもしれないが。体感で一時間は経った頃、意識が戻ってくる。


「……これで、出来る様に?」

「はい! 姐さんも異空間倉庫が使えるようになりました!」


ラグスが小さく拍手をしてくれる。が、その横には拗ねている緋月が体育座りで地面を人差し指でなぞって居た。


「あぁ……こっちが悪いか」


無視したのは葛葉だ。まぁ拗ねるほどなのかということも思うけど。


「緋月さん、私が悪かったですから。元気出してください……!」

「…………ぐすん。防具が出来たら一番にボクに見せてくれるかい?」

「え? 逆にそんだけで良いんですか?」


葛葉は緋月のことだからもっとヤバい要求して来んのかと思って居た。例えば、ベッドで○○○して○○○やってから○○○になって○○○になっちゃうのかと思ったが。


「……葛っちゃんってボクのことどう思ってるんだい?」

「えっ? ゴミが変態のどっちかですが?」

「ごっ――! ……ゴミ、変態……」


ガーンと露骨に顔を青くし、へたり込む緋月に葛葉は追い討ちを掛けるように、


「今までの行いを存じてないんですか?」


緋月の顔を覗き込みながら言った。

これは葛葉の仕返しでもあるのだ。昨日今日と緋月は葛葉にセクハラ紛い、いやセクハラをしていたのだ。つい悪戯してしまった。


「さてと、早速使かってみようかな」


と思ってはみたが、入れるもんがない。

何を仕舞おうかあれこれ周囲を見回すが、今いるここは路地裏の入り口前だ、当然ゴミしか無い。露店で何か買えばいいか。


「……どったの?」

「いえ、何か買ってこようかと」

「なぜにー?」

「使いたいんですけど、入れるもんが無いんですよ」

「あーはん」


緋月は葛葉を上から下に視線を向け、左手の掌にトンと叩く。今葛葉が持っているのは特に無し。ジャージのポケットには財布くらいしか入って居ないし、重い物は何一つ無い。ジャージと下に一枚のTシャツ、腰にはラグスから貰った刀。こんくらいしかない。


「どうしようかな」

「……その刀入れたら? 邪魔っしょ?」

「ん……確かに」


葛葉は刀の頭の部分に手を置く。確かに緋月が言う通り邪魔だ。曲がり角や店の扉には毎回毎回、ガツン……ガツン……ガツンと打つかる始末。邪魔というかクソ邪魔だ。まぁ本物刀なのだから仕方無いっちゃあ仕方ない。百均とかに売られてる刀じゃ無いんだから。


「まぁこれでいいか」

「そんじゃ、さっさと入れちゃおっか!」


刀を腰のベルト――男の時に使っていた物だ――から刀を取る。そしてまだ虚空に現れて居た黒い渦に刀を入れた。

感触という物は無く、特に変化は無し。だが、目の前には自分の手首からが黒い渦に入っていて、それはそれはもうシュールだ。


「それで持ってる刀を離すと収納完了だよ」


言われた通り刀を中で手放すようにし、ゆっくりと黒い渦から手を引く。黒い渦に入っていた手は何とも無く、左手で触れればちゃんと感触がある。


「取り出すときはね、自分が欲しいものを思い浮かべると自然と欲しい物が出せるんだよ」

「なるほど、凄く便利なスキルですね」

「便利すぎるからね、一般人が欲しい欲しい言うんだけど……流石に冒険者になってもらわないとダメだからね」

「……? 何で冒険者じゃ無いとダメなんですか?」


今葛葉は何の問題もなくこの『異空間倉庫』を使用出来た。なら、一般人が使っても問題は無いはずだ。それがどうしてダメなのか、葛葉は疑問に思い緋月に問う。


「あーっとね、この『異空間倉庫』を無闇に使うと碌なことにならないんだよ」

「碌なこと?」

「……十年前、この『異空間倉庫』を使用した一般人が居たんです」


とここまでずっと黙って、葛葉と緋月の会話を聞いていたラグスが話し始めた。そこで葛葉は気付いた二人が重々しい表情な事に。


「使用した一般人は何らかの干渉を受け、悪魔化してしまったんですよ」

「……悪魔化?」


聞き慣れない単語に葛葉は聞き返す。葛葉が知ってるアニメやラノベ、なろう小説の中に悪魔化何てのはほとんど無かった。いや、探せばあるのだろうが。

でもそいうのは、元の世界で突如現れた――とかそうい入りの小説の現象だろうに、異世界系でもあるのか?


「魔力に抵抗が無い人間はね悪魔にされやすいんだ」

「じゃあここにいる人達も大量に悪魔化すんじゃ無いですか?」

「いや、悪魔化する条件は三つなんだ。一つはさっき行ったの。もう一つは直接悪魔と会話を交わす事、最後は悪魔の魔力を取り込む事」


緋月は嫌悪感を隠さず、もろ表情に出しながら説明してくれた。悪魔化、この世界はどういう世界なのか。

色んなラノベ小説の異世界系は、主人公が死んでチート能力もらって世界救うとか、主人公が死んで女神と一緒に異世界行って魔王倒すだとか。そんな感じだ。だが葛葉はこの世界のことを知らな過ぎる。


「そして『異空間倉庫』を使った一般人が悪魔となって暴れたんです。導入された冒険者と騎士団の数、合わせて約五〇〇人。そのうち死傷者は四五二人だったそうです」

「悪魔化した個体は上位悪魔だったんだよ」


上位悪魔。アニメやラノベ小説でお馴染みの強キャラというか中ボスの立ち位置のキャラだ。そりゃ強いだろう。この世界の冒険者の強さは知らないが、チート持ち日本人が居ないとまずダメだろうけど。


「この事から各国は徹底的に『異空間倉庫』を一般人に使わせないように規制したんだ」

「そんなことがあったんですか」

「あぁ、この世界はどうやら。ボク達の知ってる異世界とはちょっと違うみたいだ」


緋月は嘆息しながらそう呟いた。

これからも読んでくれると嬉しいです!

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