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八話 思う壺

誰のなんですかねー

「……はっくしょん大魔王‼︎」


不意に緋月が大きく変なくしゃみをした。幽鬼のそれに魔物達がビクッと跳ね上がり、次には八頭分となる。


「んぁ〜誰かボクの事を噂してるのかな〜?」


ムズムズとする鼻を擦りながら、緋月は顔を上げた。

まだまだ大量に、ウジャウジャ居る魔物達の掃討をしていた緋月達。一時的に劣勢となりもう既に優勢へと切り替わったのだ。

空から降り乱れる雷や火の球、氷柱に圧縮された極鋭の風。葉加瀬の魔法攻撃が戦況を変えたと言っても過言では無いのだ。


「予想は外れては無いだろうし、まだ出てこないなら……狙いが違ったのかな〜」


この騒動の主犯と思われる鬼丸が一向に出でこない事に、緋月は一抹の不安を感じていた。伝承では目立ちたがり屋と書かれていた鬼丸が、戦いも終局になるのに出てこないのだ。と緋月か長考しようとした時、不意に魔物が襲ってきたが、真っ二つに両断する。


「とりあえずはここを終わらせよっかな」


緋月の後方では冒険者達が苦戦して居る。劣勢から優勢へと変わったとはいえ、戦いは何が起こる分からない。劣勢な相手が優勢へと成り変わったり、小さな綻びが破滅を招いたりと。戦場で油断をすればすぐに死んでしまうのだから。




緋月が勢いを取り戻し、次々と魔物を掃討して行くのを眺めながら、葉加瀬は緋月が中断した長考に入っていた。(魔法陣を展開しながら)


(向こうの森あった魔力が消えて居る。移動したのか? なら何処に移動したんだ……?)


鬼丸の取りそうな行動。葉加瀬が読み漁った数々の歴史資料からかき集める。

第一にオリア合戦。この戦いでは王国の庇護下にあった、巫女が率いた鬼族の戦士達と貴族達が、王国軍に反旗を翻した事をきっかけに開戦した戦いだった。王国軍の戦力は六万、鬼族と貴族の反乱軍が一万。戦力は六倍であり、誰が見ても圧勝できると思われていた。だが、結果は王国軍の完敗。王国軍の騎士達は敗走しオリアの街は一時期、鬼族達の占領地となったのだ。そして徐々に鬼族は勢力を拡大していき、世界的な戦乱の世でのし上がっていった。

そして鬼族最後の戦いは王都防衛戦だ。その間にも色々な種族達と戦い、戦を求めて各地を彷徨った。その全ての戦いにおいて、鬼丸は配下達を従え、いの一番に突撃して居るのだ。


(なのに、今回は姿すら出していない)


五百年の間に心変わりでもしたのだろうか。だが五百年とは言えど、ずっと寝ていたのだから心変わりも無いだろう。


(……なら何が目的で――)


結局わからず終いで考えが終わりそうになった直前、葉加瀬が読んだ資料で鬼丸は本丸を狙う時は必ず、大群でおびき寄せてから少数精鋭での本丸を取ると言った、戦略をよく使っていたと言う事を思い出した。

 そしてこの騒動も似て居る。しかもなぜ気付かなかったのか、この戦い方は五百年前の戦略と一緒だと言う事に。


「……これは揺動、本丸は街?」


だとしたら、鬼丸が移動した場所とは……。


「……東区か」

読んで頂き、ありがとうございます‼︎

都合のいい記憶ですよねー本当。

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