十六話 あける
四章最終話ですね!
「——……っ」
瞼を開けて、すこし暗さが和らいだ空に元いた場所とはかなり違う位置で光る、月を見上げる。目端からは涙が溜まり、流れている。どうやら、鬼丸は寝落ちをしてしまったらしい。
「……見たくない夢じゃの。寝ると必ず見てしまうのはどうかならんのかの〜?」
だが、忘れてはならない事だ。だから毎夜この夢を見ようが、構わない。鬼丸の真名で誓ったのだから。月詠というあの少女が居たことを覚え続けるのだから。
「さて、もうそろそろ暁時かの?」
木の上で立ち上がり、鬼丸は虚空庫から巨大な金棒を取り出した。その金棒の輪っかの部分には青い紐に金木犀の花が付いたリボンが結ばれていた。
「……行くかのぉ‼︎」
月詠は青色と金木犀がよく似合う、可愛らしい少女だった――。
「――っ⁉︎」
ガタッ! とベッドから落ちた緋月は、登る朝日の方向に顔を向ける。今まで、葛葉と共に――勝手にベッドに入ってきて共に――寝ていたが、不気味な圧を感じ落ちてしまったのだ。
「……何だ?」
嫌な汗が吹き出し、気持ち悪くなる。
冷や汗なのだかろうか、それにしても緋月にこんな圧を感じさせる事が出来る何か、その何かとは一体なのんなのか。緋月が顔を向ける方とは別の空は、雲が隙間無く覆っており今にも雨が降り出しそうな天気だ。そんな窓から見える天気を目に、緋月は四つん這いから立ち上がり顔を顰めながら、
「…………今日は嫌な日になりそうだな」
そう呟くのだった。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
これで第二部四章が終わりました! 第二部もあっという間に終わってしまいそうですね! ですが五章はかなりの量なので、早々に終わるなんて事はないですよ!