十三話 開戦前
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夜の森は静寂に包まれており不気味なまでに物音一つしない。そんな森の中で一番大きな木の上で、腕を枕代わりにし仰向けで月を見上げる少女――鬼丸が居た。今宵は満月か……と呟き、手を上げて虚空を――月を握り潰すように手を握った。
「……もう準備は整ったの」
鬼丸が寝転ぶ巨木の幹には、無数の多種多様な魔物がウジャウジャと蠢いており、鬼丸本人ですら気持ち悪いと思うほど。
先に、強い魔物をあのチビと白衣の実力を測るために――緋月と葉加瀬の実力を測るために――捨て駒にしてしまった。今いるのは強い駒が三だけ。あとは有象無象共のみ。だがまぁ、質よりも量とよく言う。数は五百ほど居るので、十分強い駒の肉壁にはなるだろう。
「今日が開戦前夜じゃ……」
鬼丸は市壁で囲まれて居る光を眺めながら、目を細めて囁くように呟いた。
開戦前夜、五百年以上前はそれが毎夜の如くあった。戦争をし、夜眠りにつき、翌日はまた戦争。そんな毎日だった。あの頃には戻りたくないが……また、この比較的マシな平和を享受する、この時代に戦争紛いの事をすることになるとは……。鬼丸は思わなかった。
「戦争は嫌じゃ……じゃが、せねばならぬ時がいつかは来る。平和が崩れるのは一瞬なのじゃから」
五百年前のように、音も無く絶望はやって来るのだから……――。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
少し諸事情により内容が少なめです。すいません。