五話 ファンタジーな武器ってかっこいいよね
どうもんぷぁです。時間が足りない!
時を止めてずっとやりたい事をやりたいと思っています。皆さんもそうですか? そんな貴重な時間を無駄にしてすいません。
今回も面白いと思ってくれたら幸いです!
その後昼食を済ませ、三人はギルドを後にした。緋月が良い武具店を知っていると誇らしげに言ってたので、二人は緋月の後を着いていくことにした。
「いや〜あの激務は二度とごめんだね〜」
「午後もありますよ」
「…………僕にはストライキを起こす権利があると思うんだ」
だ、代表者がストライキってどう言うこった。
「葉加瀬さんに絶対何言ってんだって言われますよ」
「……う〜。あ、あぁ! あの白い悪魔は……悪魔はぁ‼︎」
悪魔じゃなくて、ただの紙だろ。葛葉は内心でそうツッコンだ。緋月は頭を抱え焦点を探すように目がぐるぐるしている。
「悪魔って。師匠! 頑張って下さい!」
「うぅ……葛っちゃんが何かしてくれたら……」
「やりません」
目をキラキラさせ、葛葉に何かをさせようとするが、葛葉は目を瞑り無視する。
「ぶー」
「そんな顔してもダメです」
また泣きそうな顔になる緋月に、葛葉は緋月のつむじにチョップを食らわせ、やめさせる。
「チッ!」
「今完全に舌打ちしましたね?」
「ハッ!? 謀ったね! 葛っちゃん‼︎」
「謀って無いですし、勝手に墓穴に入って、自分で土を入れて埋まっただけじゃ無いですか?」
「だ、大丈夫? それボク生きてる? 破滅してさらに破滅して追い討ちの破滅食らってない⁉︎」
「つまり、消えてなくなって下さい!」
葛葉は見る者全てを虜にしそうな笑顔で言った。だが到底可愛いとは言える笑顔ではなく、裏の顔が見えすいた顔だ。
「あれっ!? すっごく嫌われてない!? 何で!?」
あわわ、あわわ、と手をワキワキさせ、世界の終わりを迎えたような表情の緋月。
そんな緋月に葛葉は、
「……お仕事、頑張って下さい!」
今までのを無かったかの様にしようと、今度は愛らしい笑顔で、緋月に笑いかけた。
「むぅ〜まぁ、可愛いから許す!」
「……チョロ」
葛葉は鼻の下を伸ばしモジモジする緋月に聞こえない様呟いた。
「エヘヘ〜……っと、ここだよ。二人とも!」
緋月は目的地である、武具屋を背に二人に振り向く。
「ここはボクの知り合いが運営してるからね!」
木製の看板には、この世界の文字でリリナ武具店と、そう書かれていた。てか、俺この世界の文字読めんだ……。葛葉は今更ながら気付く。
「今回はボクが武器とか防具の代金を払ってあげるよ!」
「し、師匠いいんですか?」
「あぁ! もっちろん構わないさ!」
胸をドンと叩き、緋月はふすん! 鼻を鳴らし、ドヤ顔で仁王立ちする。
(本当は報酬金で買うとこだったが……)
「え、えーっと……」
どうにか緋月を説得しようとするラグスに葛葉はそっと耳打ちする。
「ここは甘えても良いんじゃない? せっかくのドヤ顔なんだし」
「……そう、ですね! この報酬金は後日山分けにしましょう!」
「だね」
ここは緋月の言葉に甘え、ありがたく承知する。
「んー? 二人で何してんの〜?」
「何も〜」
「え〜?」
葛葉は自然と誤魔化し、緋月の背を押して、店の扉を開けた。
扉を開けた先に広がっているのは、長剣、短剣、槍、戦斧、戦鎌、両刃剣、刀、盾、防具、と様々な武器や防具が値札をつけられ売られている。
「す、凄いですね……」
「異世界って感じだなぁ……」
葛葉は薄れていた異世界感を取り戻し、感激のあまり涙が出そうになった。
「いらっしゃいって、緋月じゃない!」
「久しぶりー!」
ドアベルで葛葉達の来店を聞きつけた人物。おそらくこの人がリリナだろう。
「いや〜流石はしのっち! 良いのを揃えてるね〜」
緋月は棚や壁に置かれている武器、防具立てに取り付けられている防具、それらを見て、目の前の人物に向き直る。
「ありがとう。あ、ラグス君も久しぶり」
「ひ、久しぶりです!」
どうやらラグスも面識があるらしい。ラグスの律儀なお辞儀に、しのっちと呼ばれた女性は、葛葉に顔を向けると首を傾けた。
「緋月? その子は?」
「ふっふっふ!」
女性が緋月に説明を求むが、緋月は何故か含み笑いをし始める。
「我がギルドの期待のニューフェイス! 鬼代葛葉ちゃんでーす‼︎」
と緋月が葛葉を女性に紹介する。
当の葛葉は、自分が『期待のニューフェイス』だったことを知り、目が点になる。自分が何故期待されるのか、正直意味がわからないと言った表情を浮かべる葛葉。
「へぇ〜……私の名前は篠寺千佳。よろしくね」
「え、あはい!」
葛葉の名を呼び、微笑みながら握手を交わす千佳。
「私のことは気軽にしのっちって呼んでけれて良いよ」
「良いんですか?」
「うん、もうそっちの方が慣れてるくらいだから」
篠寺さんは苦笑いしながら、後ろでラグスと武器や防具を品定めするように、一つ一つ見ていた。
「……付き合いは長いんですか?」
「えぇ、もう五年かな……? 緋月とは元々同じクラスの友達だったの」
「えっ!?」
クラス、誰と? 緋月と⁉︎ じ、じゃあ緋月とこの人は……陽キャ‼︎
再び説明しよう、この物語の主人公である鬼代葛葉とは……極度の引き篭もりであり、極度の陰キャだ。そのため、高校に入っても陰オーラとコミュ障のせいで馴染めず、直ぐに不登校になり、学校に行かなくなったのだ。そんな悲しくもない過去は置いといて……。
「あ、あぁ〜学校……? ハハ……ガッコウ」
「うわ〜大丈夫? てかそれどいう表情なの?」
ホラーゲームや映画に出ても遜色ない葛葉の表情に、千佳は怖気ぜずに、壊れた葛葉に近づく。
「あははははは」
「あ、姐さん!?」
「な、なんだ!? あの陰数値の上がり方は⁉︎」
目を離していた隙に、仮にも二人目の師匠の変貌ぶりにラグスが瞠目する。そして、どこから出したのか緋月は、スカ○ターらしき物で葛葉の陰数値を勝手に測る。
「陰数値、七〇〇〇……八〇〇〇……バカなっ‼︎」
「いや師匠何やってんですか……」
「……視線が痛いなぁ」
スカ○ターらしき物を取り外し、ポイっ! っとゴミ箱に投げ入れる。
「で、葛っちゃんはどうしよっかな」
「うーん、そっとしといた方が良いんじゃ……?」
「多分、学校って単語に反応したんだろうねぇ」
妙なところで名探偵な緋月は、的確に葛葉がこうなってしまった原因に気付いた。
「……そういえば、今日は何しに来たの?」
「あっと、すっかり本命忘れてた!」
あっ! と緋月とラグスが、すっかりこの武具屋にやって来た目的を失念しており、今更思い出す。
「そうそう。今日は葛っちゃんの防具を買うために来たんだった」
「なる、そいうことね」
「……所で所で」
と緋月は千佳に近付いていき、ヒソヒソと何事かを囁き、それに千佳は首肯する。そんな怪しげな場面を、ラグスは不安そうに見つめているのだった。
読んでいただき、ありがとうございます!
十一時前には上げたいんですけどねー、時間が足りないんですよねー。流石にくどいですね。
これからも楽しみに待って頂けたら、モチベーションがアップしますので、どうかこれからも宜しくお願いします‼︎